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「体外灌流技術」国内初実施へ最終訓練 岡山大病院

体外肺灌流(循環)技術の国内初実施に向けてシミュレーションする大藤チーフ(右)ら岡山大病院肺移植チーム=29日午後3時40分、同大病院手術室(代表撮影)

 岡山大病院(岡山市北区)肺移植チームは29日、国内初実施を目指している「体外肺灌流(かんりゅう、循環)技術」の最終的なシミュレーションを実施した。脳死肺移植でドナー(臓器提供者)から摘出した肺を専用装置につなぎ、体外で弱った機能を回復させたり、生存状態を長く維持する技術。同病院は「準備は万全。可能なら次回の脳死移植から導入したい」としている。

 脳死肺移植は、ドナーの肺に血液から余分な水分がしみ出て肺水腫になったり、臓器提供病院と移植病院が遠く搬送が間に合わないなど「医学的な理由」で断念される場合がある。同技術は人工心肺装置で血液代わりの特殊薬剤(液体)を循環させ肺の余分な水分を除去する仕組みで、年間30例前後の脳死肺移植の増加につながるという。

 シミュレーションは午後2時ごろから、同大病院総合診療棟4階の手術室で執刀医の大藤剛宏肺移植チーフらチームスタッフ約20人が実施。およそ1時間かけ、提供肺を入れるドーム形ケースと人工心肺装置や空気を送る人工呼吸器などをつなぎ、肺の温度を体温とほぼ同じ37度まで上げた後、保存に最適な10度に下げる作業手順などを確認した。

 終了後、大藤チーフは「スタッフの手際も良かった。移植数の増加と安全な手術につなげたい」とした。

 大藤チーフが2006年に留学したスウェーデンで習得した同技術は現在、欧米などで実施。同大病院は海外視察や動物での検証を行うなど各種準備を進め、同大倫理委員会から実施の承認も受けている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年09月30日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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