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がん「凍結療法」拡大に力 先進医療認定へ岡山大病院

岡山大病院で行われている腎臓がんの凍結療法。患者を取り巻く大きな装置がIVR−CT

 岡山大病院(岡山市北区)放射線科は患部に細い針を挿入し、がん細胞を壊す「凍結療法」の拡大に取り組んでいる。これまでに保険が適用される腎臓がんで64人(71腫瘍)に実施。近く骨転移がん患者を対象にした臨床研究に着手し、治療費の一部が保険適用となる「先進医療」の施設認定を目指す。

 凍結療法は、特殊機器に装着した直径1・5ミリの針1〜5本をIVR―CT(コンピューター断層撮影装置)で確認しながら患部に挿入。特殊ガスを送って体内に直径数センチの氷玉を作り、零下40度まで冷却する作業を2回繰り返してがん細胞を壊す仕組み。外科手術より患者の身体的な負担が少なく、同大病院は2012年に腎がん治療として始めた。

 適用拡大へ、5月、数年前に治療した肺がんがあばら骨付近の胸壁に再発した70代女性に実施。腎がん以外で初の症例だったが、直径2・5センチのがんが消え、治療前に訴えていた背中の痛みもなくなった。9月中旬には肝臓がんが骨盤の一部に転移した高齢女性に行い、「患部横に下肢を動かす神経があり、難しい症例だった」(担当医・郷原英夫講師)が、成功を収めた。

 腎がん以外でも効果が見込めるとして、同大病院は骨転移がん患者約20人を対象に臨床研究を計画。実績を積み、先進医療の施設認定、その先の保険適用を目指す。放射線科の金澤右教授は「良性腫瘍や肺がんにも有効な治療法。一般の医療として普及させたい」とする。

 腎がん凍結療法は1995年、国内の医師が世界で初めて実施し、欧米で普及している。国内では11年に保険適用になったが、他のがんは適用外。岡山大病院が行う腎がん以外の凍結療法は、費用の全額が自己負担の自由診療で行っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年10月09日 更新)

タグ: がん岡山大学病院

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