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浸潤子宮頚がん 温存手術が成功 無事に女児出産 倉敷成人病センター 腹腔鏡使い患部切除

 深く広がった浸潤子宮頚(けい)がんの三十代女性(岡山県在住)が、倉敷成人病センター(倉敷市白楽町)で、腹腔(ふくくう)鏡による子宮温存手術を受け、四月末、女児を無事出産した。浸潤子宮頚がんの手術は子宮の摘出が標準的で、妊娠をあきらめなければならなかった。温存手術に成功し出産まで至ったケースは全国でも珍しく、同様の疾病で妊娠を望む女性に朗報となりそうだ。

 女性は二〇〇四年一月、子宮入り口の子宮頚部に、幅約一センチ、深さ数ミリの浸潤がんがあると診断された。このため、倉敷成人病センター産婦人科の安藤正明医師が、開腹せず腹に小さな穴(直径一~〇・五センチ)を開けただけの腹腔鏡による手術を実施。病変部と周辺を広く切り取り、残した子宮と膣(ちつ)を縫合した。

 女性に再発や転移の兆しは見られず、約一年半後に体外受精で妊娠。今年四月末、三十四週で、帝王切開で出産した。女児は千九百八グラム。母子ともに健康という。

 温存手術に成功し妊娠、出産したケースは国内では〇四年の慶応大病院(東京都)が初。倉敷成人病センターでは同様の手術を〇一年から二十一例実施しているが、出産は初めて。

 安藤医師は「低侵襲の腹腔鏡手術で、再発しないよう十分病変部を切除する一方、子宮頚部をわずかに残すという手術で、妊娠の可能性につなげた。子宮頚がんは若年層で増えており妊娠、出産の可能性を残せる子宮温存手術への要望は高まるだろう」と言う。

 女性は「温存の選択肢もあると聞き妊娠への希望が持てた。赤ちゃんはすくすくと成長していてうれしい。次に続く女性の励みになれば」と話している。


ズーム

 子宮頚がん 粘膜表面にとどまる上皮内がんと粘膜より深く広がる浸潤がんに分かれる。近年、20代を中心に若い世代で増加。このため厚生労働省は、2004年度から子宮頚がんの検診対象を30歳以上から20歳以上の女性へと年齢を引き下げている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2006年05月13日 更新)

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