“心の風邪”理解して 統合失調症の男性が創作詩朗読
統合失調症を患い、精神障害者の自立支援施設で暮らす寺川武志さん(38)=岡山市北区=が、地元中学生らを対象に創作詩の朗読会を開いている。自らの人生を投影した詩をつづり、心の病のつらさを分かりやすい言葉で表現している。
「ぼく人のぬくもりに敏感なんよ こころの温度が分かるんじゃ ほんのちいさなことでも ぼくのこころは揺れるんよ」
11月8日、精神科病院・万成病院(同区谷万成)の多目的ホールで開かれた朗読会。近くの京山中学校の生徒ら約300人を前に、寺川さんが自作の詩「ぬくもりがわかるんじゃ」など4編を読み上げた。
ホールにはとつとつと語る声だけが響き、生徒は身じろぎもせず聞き入った。2年生女子(14)は「一言一言に気持ちが詰まっていた」と感想を話した。
朗読会を始めたのは昨年12月から。万成病院と京山中など3中学校が協力して開いている「こころの病気を学ぶ授業」の中で、これまで5回開催した。
寺川さんが統合失調症の診断を受けたのは高校3年の時。大学受験で猛勉強していたころ幻聴が聞こえ始めた。もともと真面目で妥協を許さない性格。医師は「自分を追い込みすぎたのが原因の一つ」と説明した。
万成病院などに入退院を繰り返した後、昨年4月に同病院の自立訓練事業所「ひまわり」に入所。田淵泰子施設長の勧めもあって作詩に取り組み始めた。
〈精神障害を負っている けど、ごく普通に日々の生活を送っている〉〈笑われたり、苦しめられたり、今までいろいろあったけど、現在はとても幸せです〉
「言葉を紡ぐのは楽しい。気持ちが穏やかになる」と寺川さん。そばで見守る田淵施設長は「朗読を始めてから自分を肯定できるようになった。まるで別人のよう」と話す。
100人に1人の割合で発症するとされる統合失調症。“心の風邪”と表現する寺川さんは「心の風邪をひくと、他人と接する時にまるで触れたかのように心の温度が分かる。思いやり、気遣い、そうしたところに僕はぬくもりを感じる」と語る。差別、偏見に苦しめられたこともあったと言い、「誰もが平穏に暮らせる社会」を願っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
「ぼく人のぬくもりに敏感なんよ こころの温度が分かるんじゃ ほんのちいさなことでも ぼくのこころは揺れるんよ」
11月8日、精神科病院・万成病院(同区谷万成)の多目的ホールで開かれた朗読会。近くの京山中学校の生徒ら約300人を前に、寺川さんが自作の詩「ぬくもりがわかるんじゃ」など4編を読み上げた。
ホールにはとつとつと語る声だけが響き、生徒は身じろぎもせず聞き入った。2年生女子(14)は「一言一言に気持ちが詰まっていた」と感想を話した。
朗読会を始めたのは昨年12月から。万成病院と京山中など3中学校が協力して開いている「こころの病気を学ぶ授業」の中で、これまで5回開催した。
寺川さんが統合失調症の診断を受けたのは高校3年の時。大学受験で猛勉強していたころ幻聴が聞こえ始めた。もともと真面目で妥協を許さない性格。医師は「自分を追い込みすぎたのが原因の一つ」と説明した。
万成病院などに入退院を繰り返した後、昨年4月に同病院の自立訓練事業所「ひまわり」に入所。田淵泰子施設長の勧めもあって作詩に取り組み始めた。
〈精神障害を負っている けど、ごく普通に日々の生活を送っている〉〈笑われたり、苦しめられたり、今までいろいろあったけど、現在はとても幸せです〉
「言葉を紡ぐのは楽しい。気持ちが穏やかになる」と寺川さん。そばで見守る田淵施設長は「朗読を始めてから自分を肯定できるようになった。まるで別人のよう」と話す。
100人に1人の割合で発症するとされる統合失調症。“心の風邪”と表現する寺川さんは「心の風邪をひくと、他人と接する時にまるで触れたかのように心の温度が分かる。思いやり、気遣い、そうしたところに僕はぬくもりを感じる」と語る。差別、偏見に苦しめられたこともあったと言い、「誰もが平穏に暮らせる社会」を願っている。
(2013年12月06日 更新)