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救急分野で先駆的役割 川崎医大病院開院40周年

開院40周年を迎えた川崎医科大付属病院。ドクターヘリなど先進的な医療を担っている

 川崎学園が運営する川崎医科大付属病院(倉敷市松島)が今月、開院40周年を迎えた。ドクターヘリや高度救命救急センターといった救急医療分野で先駆的役割を果たすとともに、がん治療などの高度先進医療を提供する基幹病院、大学併設の臨床教育現場として医学の発展に寄与している。

 今月上旬の昼時、高度救命救急センターに突然、無線の声が響いた。「現場救急。ドクターヘリ、エンジンスタート」

 若い男性が高所から転落し、頭や胸を負傷したという岡山県南東部の事故現場に向け、医師2人と看護師1人を乗せたヘリが離陸したのは、地元消防本部の要請からわずか4分後。応急処置を施して別の病院へ搬送した。

 35道府県で42機が稼働するドクターヘリの「全国第1号」として、川崎医科大付属病院で本格運航が始まったのは2001年。出動件数は年間400件を超え、県内だけでなくケースに応じて広島、香川県まで出向く。

 広域で重度患者に対応する一方で、「24時間、いつでも診療」という理念に沿い、自ら来院する初期救急患者も受け入れる。同センターの荻野隆光副部長は「早急で適切な処置が何より大切。今後も全力を尽くしていく」と力を込める。

外来年51万人

 川崎学園の川崎祐宣初代理事長が「地域の医療福祉の向上と医療人の育成を図る場」として開設した同病院。1973年12月、戦後初の私立医科大としてスタートした。

 現在は36診療科、1182床を有し、年間の外来患者数は延べ約51万3千人、入院患者は同約23万6千人。高度な医療を提供する「特定機能病院」、がん治療の中心的役割となる「地域がん診療連携拠点病院」の承認を国から受けている。

 臓器や体の機能別に設けられた診療科が横断的にチーム医療を手掛けるがんセンター、安心して外来化学療法に専念できる通院治療センター、血栓溶解薬「tPA」を使った脳梗塞治療が日本屈指の実績を誇る脳卒中科などが、こうした高度先進医療を担う。

 県の委託を受け、県認知症疾患医療センターの設置や高次脳機能障害支援普及事業にも取り組み、専門医を置いて診療に当たっているほか、市民公開講座や関係者の研修などを行っている。

人材育成

 大学病院として優秀な人材を育てることも使命の一つに掲げる。年間約50人の研修医のほか、学園内外から看護師や救急救命士ら約2千人を受け入れ。2011年には、院内外の医療関係者や学生が機器の操作方法、看護手順などを学べる「臨床教育研修センター」を整備した。

 昨年度開講した「川崎塾」では、医療・看護技術のみならず、医師や看護師、清掃スタッフら職種を超えた研修を通して、より良いサービス、医療、施設の在り方の共有に努める。

 園尾博司病院長は「医療は患者さんのためにあるもの。貢献できること、ここでしかできないことを常に模索しながら、『来て良かった』と思われる存在であり続けたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2013年12月31日 更新)

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