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大藤医師「挑戦心持ち続けて」 高校生に難手術の事例講演

「これからも患者の命を救いたい」と話す大藤肺移植チーフ

 重い肺の病気で移植しか助かる見込みのない男児(3)に、生体肺中葉移植を世界で初めて成功させた岡山大病院肺移植チームの大藤剛宏チーフ(46)が7日、岡山市北区鹿田町の同大鹿田キャンパスで講演した。医療職を志す県内の高校生約140人を前に、「これからも難しい手術に挑み、患者の命を救いたい」と語った。

 通常の生体移植は肺活量が多い下葉を用いるが、男児には大きすぎた。このため肺移植チームは昨年7月、母親の右肺中葉部分の移植を決断。ただリスクは高く、下葉とは形や血管の位置が異なるため、より高度な技術が求められる。米国で行われた4歳児の例は失敗に終わっていた。

 大藤チーフは「術後、親子が遊んでいる姿を見て挑戦してよかったと心から思った」と述懐。親の心情などから脳死による小児ドナー(臓器提供者)が極めて少ない現状を踏まえ、「同じ境遇の幼い子どもたちを救う道が開けた。皆さんも挑戦する気持ちを持ち続けて」と呼び掛けた。

 脳死肺の機能を体外で回復させる「体外臓器リカバリーシステム」を国内で初めて導入したことにも触れ、「今では移植は身近な医療。いつ自分に必要になるか分からない。普段から家族と臓器提供について考えて」と結んだ。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年01月08日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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