文字 
  • ホーム
  • 特集・話題
  • 腰痛予防
  • (4)仕事中で注意する姿勢・動作とは? 現場編 岡山労災病院 中央リハビリテーション部(主任作業療法士) 藤原初美

(4)仕事中で注意する姿勢・動作とは? 現場編 岡山労災病院 中央リハビリテーション部(主任作業療法士) 藤原初美

藤原初美主任作業療法士

 業務上に発生する疾病の約60%は腰痛と言われ、多くの人が職業性の腰痛を訴えています。皆さんの中にも仕事中に腰痛を経験した方がいるのではないでしょうか。今回は実際に重量物を取り扱うような職場での一般的な注意を主に説明します。

重量物を持ち上げる作業をする時

 厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針の通達によると、人の力で持つことができる重量物には限度が設けられています。

 重たい物を1人で取り扱う場合は1回の最大重量は55キロ以下に、また機械などを使用せず常に人の力のみで取り扱う場合は体重の40%以下にするよう指導しています。これより重い物は2人以上で取り扱い、重さが均等にかかるように取っ手を付けるとより持ちやすくなります。

 重量物を持ち上げる時の姿勢=図1参照=は対象物になるべく近づき、膝を曲げ、前かがみにならないようにして持ち上げましょう。持ち上げた重量物を横へ置く時は腰をひねるのではなく、足を踏みかえて重量物を置く方向に体幹を向けます。この時腕は伸ばさず、持った重量物は最後まで体に近づけたままにしましょう。また、腰部の保護ベルトの使用も有効です。

立ち仕事をする時

 腰の前屈、過度の伸展、ひねった姿勢は腰に負担をかけるので避けましょう。腰から上の脊柱は垂直に保つように作業環境を整えてください。

 立ち作業を長時間行う場合は1時間に1〜2回小休止を取り、その時に足の屈伸運動やマッサージ、積極的休息(アクティブ・レスト)などを行うと効果的です。積極的休息とはストレッチ=図2参照、ウオーキング、ラジオ体操など、同じ姿勢を続けた時や激しい負担をかけた作業をした後に効果的な休息の方法です。

長時間の運転をする時

 クッションや畳んだタオルを腰に当て、腰椎の湾曲を整えたり、振動の軽減に努めましょう。2時間ごとに車から降りて小休止を取りましょう。この時、全身の軽い屈伸運動やアクティブ・レストを行うとより効果的です。

介護・介助をする時

 近年、介護をする人や介護職に従事する人の腰痛が問題になっています。仕事中に対象者を抱きかかえたり、無理な姿勢で世話をしなければならないことが頻繁にあるためです。

 腰に負担のかかる姿勢(中腰、ひねった姿勢)を長時間続けないようにするため適当に小休止を取り、アクティブ・レストを行うことをお勧めします。また、同じ姿勢を続けないために異なった姿勢の作業と組み合わせると良いでしょう。

 食事などの介助を行う時は対象者と横並びに座らず、対象者と向かい合って行うと腰をひねらずに済み、腰への負担が軽減されます。

 寝ている対象者を起こす時=図3参照=はベッド上に片膝を突き対象者に近づき、なるべく前かがみにならないようにしましょう。

 ベッドに腰掛けている対象者を車椅子に移す時=図4参照=は対象者の体幹を前かがみにして対象者の下肢に体重をかけるようにして腰を持ち上げ、介助者は前かがみにならないように膝を曲げ腰を低くして行いましょう。対象者の脇を抱えると対象者の臀部(でんぶ)が低くなり、介助者はのけぞるような姿勢になるので注意しましょう。

その他

 始業前(休日明けや1日の最初)にウオーミングアップ、ストレッチを行いましょう。床にしゃがむのではなく作業台を設置したり、頻繁に使用する道具は取りやすい高さに置くなどの工夫をしましょう。寒冷対策も腰痛予防に効果的です。

 岡山労災病院は診療行為以外にも腰痛予防対策などの一環として企業に出向き指導を行うなど、勤労者医療に積極的に取り組んでいますのでご相談ください。

=おわり=
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年03月03日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ