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自宅に近い環境で療養 岡山赤十字病院の緩和ケア病棟

8部屋ある有料個室。落ち着いた木目調でデザインされており、家族らが使えるソファベッドも備えている

運用が始まった緩和ケア病棟(手前)。本館の南東に整備された

喜多嶋緩和ケア科部長

 がん患者らを対象にした独立型の緩和ケア病棟が岡山赤十字病院(岡山市北区青江)に完成、5月から運用が始まった。一般病棟と切り離した別棟形式は岡山県内で初。病棟を歩いてみた。

 ベージュや木目調のデザインでまとめられた病室、季節の花が楽しめる病棟専用の庭、家族らと団らんできるスペース…。一般病棟から離れているため、救急車の出入りなど病院らしい慌ただしさもあまり感じられない。これらは、入院中も自宅に近い環境で過ごせるようにとの配慮だという。

 緩和ケアは、がんやその治療に伴う痛みを和らげる目的で行われる。終末期に入院するイメージを持つ人も多いが、緩和ケア科の喜多嶋拓士部長は「初期段階の抗がん剤治療の副作用や手術の後遺症の緩和、看病に疲れた家族のために一時的に入院する『レスパイト入院』、在宅療養への橋渡しなど幅広いケアを行っていく」と話す。

 病棟は本館南東の駐車場跡地に建設。鉄筋コンクリート平屋約1400平方メートル。特別室、有料個室、無料個室、2人部屋の4タイプが計20床ある。医師や看護師をはじめ、ソーシャルワーカーや管理栄養士、臨床心理士らがチームになって、経済的な相談など痛み以外での患者・家族のサポートも行う。

 持ち込んだ食材はキッチンで調理できる。制限はあるものの、ペットと暮らすことも可能。どの部屋からもウッドデッキに出ることができ、日差しを毎日感じられるのも特徴のひとつになっている。

 喜多嶋部長は「岡山赤十字病院は地域がん診療連携拠点病院として、がんの診断から終末期までをカバーする役目がある。病棟の完成で、落ち着いて過ごしてもらう療養環境が整った」と話している。

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年05月12日 更新)

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