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(1)熱性けいれん 倉敷成人病センター小児科 主任部長 御牧信義

みまき・のぶよし 東京都立富士高、岡山大医学部卒。岡山大小児神経科(現)で小児神経学を専攻、1983年倉敷成人病センター小児科に就職、2005年から現職。小児科専門医、小児神経専門医、脳波専門医、子どもの心相談医。医学博士。

 熱性けいれんは発熱時に起こる乳幼児のひきつけで、脳炎や髄膜炎など中枢神経感染症、代謝異常やその他明らかな原因がないものをいいます。1歳前〜3歳ぐらいに多いのが特徴です。乳幼児の2〜5%にみられ、決して珍しくないありふれたものです。一生に1回しか起こさないことが多いですが、2回起こすのは約30%、3回は約9%と言われています。

 熱性けいれんは、通常38度以上の発熱時、特に熱の上昇期に起こります。急に白目をむいて体を硬くしたり、ガクガクさせたりします。顔色は悪くなり紫色になったりもしますが多くの場合は5分以内で自然消失するので、表1を参考にしてあわてないように努めましょう。

 ただ10分以上続くけいれん、頭痛、嘔吐(おうと)を伴う場合、1歳以内の初回発作、けいれん後に麻痺(まひ)を伴う場合、短い間隔で発作を繰り返す、意識障害が続くなどの場合は、早くお医者さんに掛かりましょう。

 治療は、熱性けいれんが2回以下で、発作におかしな点がない場合は経過を見るだけですが、けいれんが3〜4回以上起こる場合、長く続く場合などは、熱性けいれんの予防を考えます。

 予防薬はジアゼパム座薬(商品名=ダイアップ座薬)が最も多く使われます。37・5度以上を目安に、発熱に気付いた時点で使用し、8時間後に発熱が続いているようなら2回目の座薬を使います。このような発熱時のジアゼパム座薬によるけいれん予防をいつまで行うかは決まっていませんが、2年間または5歳を目安にします。ジアゼパム座薬の使用方法は患者さんにより、違う場合もあるのでかかりつけの先生の指示に従いましょう。

 発熱は体の生体防御反応でもありますので、解熱することが必ずしも早く治ることを意味しませんが、熱が続くと体力を消耗しますので解熱剤を使うこともあります。子どもで多く使われるアセトアミノフェン座薬(例=アルピニー、アンヒバ座薬など)により、抗けいれん剤(ジアゼパム)の吸収が阻害されるので、まずジアゼパム座薬を使用し、30分以上たってからアセトアミノフェン座薬を使用しましょう。

◇ 倉敷成人病センター(086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年06月02日 更新)

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