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「フライトナース」目指す渡部さん 救急医療の最前線へ

県内で初となる男性のフライトナースを目指す川崎医科大付属病院高度救命救急センター看護師の渡部雄生さん

 倉敷市松島、川崎医科大付属病院高度救命救急センターの看護師渡部雄生さん(26)=同市=が、ドクターヘリに搭乗して患者の命を救うフライトナースを目指している。的確な判断や確かな技術が求められるが、「救急の最前線で活躍できる医療人になりたい」と志願。フライトナースは11人いるが全員女性で、渡部さんのヘリ搭乗が実現すれば県内初。

 川崎医科大付属病院のドクターヘリは、全身の疾患に精通した医師と看護師が乗り込み、30分以内に現場に急行。患者の容体を安定させる処置を行い、受け入れが可能な救急病院に搬送する。出動件数は年間400件を超えるという。県内でドクターヘリを運航しているのは同病院のみ。

 病院所属の看護師は約850人いるが、2008年度から採用を始めた男性ナースは現在38人。うち高度救命救急センターには渡部さんをはじめ10人が働いている。

 フライトナースになるための特別な資格はないが、日本航空医療学会フライトナース委員会(東京)は、経験5年以上の看護師で救急医療経験3年以上▽器具などを使った二次救命処置ができる▽同学会主催の講習会を受講―が望ましいとする。

 渡部さんは中学3年のころ祖母を病気で亡くし、看護師を志した。専門学校の現場実習で訪れた川崎医科大付属病院高度救命救急センターで、献身的な処置で患者を救う医師や看護師を目の当たりにし、救急現場にひかれた。

 09年4月、病院就職と同時に高度救命救急センターに配属された渡部さんは来春、経験年数のハードルをクリア。“夢”が現実へと近づいている。今は経験を積む傍ら、重度の外傷患者への処置を標準化した日本救急医学会公認の「病院前外傷教育プログラム」を受講。このプログラムを指導できるインストラクターの資格取得にも励む。

 「簡単な仕事ではないが、体力と気力には自信がある」と意欲は十分。「時間も設備も限られた現場で、何が必要かを的確に把握し、行動できるフライトナースになりたい」と意気込んでいる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年06月19日 更新)

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