文字 

(3)小児の予防接種 倉敷成人病センター小児科部長 木村桂子

きむら・けいこ 岡山大安寺高、東京慈恵会医科大卒。岡山大麻酔科(当時)入局。岡山赤十字病院で小児科研修、就実短大講師、倉敷中央病院総合保健管理センター勤務を経験。2004年から倉敷成人病センター小児科に勤務、14年4月から現職。小児科専門医。

 子どもは感染症をくりかえし経験することで免疫をつけながら成長していきます。しかし、感染症の中には深刻な合併症や後遺症を起こすものがあり、これらの病気を予防したり、かかっても軽く済ませたりするために、ワクチンで免疫を作る手助けをするのが予防接種です。現在、小児に行われている予防接種は表の通りです。

 生きた細菌やウイルスの病原性を弱めて作る生ワクチンは比較的長く免疫が続きます。一方、細菌やウイルスの免疫にかかわる一部を利用する不活化ワクチンは、十分な免疫を得るためには複数回の接種が必要です。病気になりやすい時期と免疫をつけるのに最適な時期を考えて、ワクチンの接種年齢が定められています。一般的に生後2カ月から、Hib、肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎のワクチンを開始します。一度に2種類以上のワクチンを打つ同時接種も勧められており、定められた方法で実施すれば、ワクチンの組み合わせや数に制限はなく、効果が低下することや副反応の増加はありません。

 ところで、ワクチンは、時に望ましくない反応(副反応)を起こすことがあります。接種後30分―48時間でアレルギー反応・発熱・接種部位の腫れが見られたり、生ワクチンの場合は接種後1―3週間で、予防目的の病気の症状を軽く起こすことがあります。たまたま同時期に他の病気にかかり、副反応とまぎらわしいこともあります。

 これらの反応を少なくし、予防接種の効果を上げるために、体調の良い時に接種を受けましょう。保護者の方に問診票を書いていただき、医師が診察して接種できるかどうかを判断します。発熱などの後は1―2週間は空けた方がよいでしょう。けいれん、喘息(ぜんそく)などで治療を受けている場合は主治医に相談しておきましょう。しかし、慎重に判断しても副反応は起こりうることも理解して予防接種を受けていただきたいと思います。

 予防接種の進め方は、より安全で効果が高まることを目指して年々変化しています。次のホームページも参考にしてください。

 VPDを知って、子どもを守ろうの会=http://www.know-vpd.jp/

 日本小児科学会=http://www.jpeds.or.jp/

◇倉敷成人病センター((電)086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年07月21日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ