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視覚障害者をヘルスキーパー採用 県内企業徐々に増加

マッサージを施すヘルスキーパーの奥山さん=倉敷中央病院

 マッサージ師などの資格を持つ視覚障害者を、従業員の疲労回復を図る「ヘルスキーパー」として採用する企業が県内で少しずつ増えている。業務の能率向上と健康維持のサポート役として従事。企業は法で義務付けられている障害者の雇用確保にもつながる。

 岡山盲学校(岡山市中区原尾島)によると、1994年に卒業生1人が雇用されたのを皮切りに、これまで7人が百貨店や銀行、病院などに嘱託社員として就職した。いずれもマッサージ師などを目指す理療科の卒業生。卒業生の多くは介護施設などで働いているという。

 障害者雇用促進法では、従業員50人以上の企業は従業員数の2%以上の障害者を雇用するよう義務付けている。ただ岡山労働局によると、県内で基準を満たしているのは2013年6月1日現在、対象企業の47・9%。未達成の企業は不足する障害者数に応じて1人5万円を国に納めなければならない。

 倉敷中央病院(倉敷市美和)は、11年5月に奥山睦男さん(48)=岡山市東区=を採用。若林泉人事課長は「法定雇用率が達成できるうえ、職員のリフレッシュにもつながる」と言う。宿直明けの医師や看護師など、多い日は10人以上がマッサージを受けており、奥山さんは「安定した職場。働きがいがある」と喜ぶ。

 天満屋岡山店(岡山市北区表町)で20年間働いている上山照正さん(54)=岡山市南区=は「『気持ちよかった』という言葉は、いつ聞いてもうれしい」と言う。

 岡山盲学校で進路指導を担当する鷺原浩樹教諭は「ヘルスキーパーの認知度はまだ低いが、障害者の法定雇用率達成などのメリットを訴えてアピールしていきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年08月19日 更新)

タグ: 福祉倉敷中央病院

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