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在宅重症児のケア手順統一 倉敷や早島の医療機関

「倉敷地区重症児の在宅医療を考える会」で、統一した医療的ケアの手順案を人形で実演する医師ら=倉敷中央病院

 人工呼吸器をつけるなど医療的ケアを受けながら家で過ごす重症児を支援する倉敷市を中心にした医療機関が、ガーゼ交換や栄養注入の手順統一を目指している。手順や使う物品の支給基準は施設によって違いがあり、多くの施設で同様のケアを受けられるようにして患者家族に安心してもらう。全国でも先進的な試みという。

 取り組むのは「倉敷地区重症児の在宅医療を考える会」。新生児集中治療室(NICU)のある倉敷中央病院(倉敷市美和)、在宅の重症児の短期入所が多い国立病院機構南岡山医療センター(早島町早島)など4病院を中心に、訪問診療に特化した診療所や訪問看護ステーションなどが参加している。

 統一するのは、人工呼吸器をつけるため気管を切開して入れた筒状のカニューレや周辺のガーゼ交換▽口や鼻、気管切開部からのたんなどの吸引▽鼻から胃腸へ入れたチューブやおなかに開けた胃ろうからの栄養注入―の主に三つのケア。

 こうした手順はそれぞれの施設で定め、在宅で重症児を介護する家族を指導している。だが、カニューレや吸引に使うカテーテルの交換頻度や、器具を洗う際に滅菌水を使うか水道水で済ませるかなど施設ごとの違いは多い。診療や訪問看護、短期入所などで複数の施設を利用する家族は手順の違いに戸惑うという。

 考える会は昨年夏から月1回、医師や看護師のワーキンググループを開き、各施設の手順を調べ統一案を作成。8月上旬、同市内であった在宅医療を考える会で、その案に沿ったケアを実演し、参加した約50人が意見を交換した。これを踏まえ年内には統一した手順と、家族指導用のDVDを作成し、各施設を通じて普及を図る。

 在宅の重症児は近年増えているが、支援できる医療機関は限りがあり、特定の施設に患者が集中している。倉敷中央病院総合周産期母子医療センターの渡部晋一主任部長は「医療機関の連携を強めて支援施設を増やしたい。自宅は医療でなく生活の場。安全性はもちろん、家族の立場に立ってシンプルで長続きできる手順にするのも大切だ」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月08日 更新)

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