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(7)発達障害(中) 倉敷成人病センター小児科 主任部長 御牧信義

御牧信義主任部長

検査   

 発達障害のお子さんに対し、医療機関、特に病院は発達検査、耳のきこえの検査、頭部MRI(磁気共鳴画像装置)、脳波検査などを行います。発達検査で知能、生活、運動などを評価しますが、知的評価にとどまらず、行動特性を医療関係者とご家族が一緒に確認することができるのでお子さんへ理解が深まります。

 決して数字だけで判断するのではなく、生活、学業の場での困り度も含めて総合的に判断します。

診断

 診断基準に照らして診断することは確かに大切です。薬物療法の効果を最大限に発揮するためにも診断は重要です。そして診断書を作成する場合にも診断名が必要ですが、実は診断名を確定することが目的ではありません。

 発達障害の場合、困っている症状は個人個人で異なっていますので、診断する過程でお子さん特有の特性を知り、そのニーズに合わせた個別の対応を決めていくことにこそ、診断の意味があります。

 従来、発達障害は脳障害に起因しており、診断は固定していて変わることはないとされていましたが、最近、診断は変動しうると考えられています。なぜならお子さんが発達障害をお持ちでも常に発達し変化していること、そして個人の特性と環境への適合性の両面からの診断が求められるようになっており、個人と環境の組み合わせの変化を含めて、診断は変わり得ると言われています。

療育

 医療機関で行われる個別療育では、お子さん特有の特性をチェックし、本人にあった対応を立てやすくなりますが、実際には集団での生活適応力を求められるため、集団生活を意識した小集団療育も大切で、通所あるいは通園で行われる児童発達支援サービスの場で実施することも多いです。そして教育機関で行われる特別支援教育との連携も大切です。

機関連携

 発達障害をもつお子さんは多くの人と関係しながら社会の中で生活しています。そのようなお子さんに対して、医療機関が提供できる対応には限りがあります。保健所、保育・幼稚園、小学校など多くの機関が対応していますが、お子さんのニーズにあったサポートを提供するには、それぞれの機関が特徴を生かしてかかわることが必要です。

 各機関それぞれが特徴と限界を共有し相互補完的にサポートを提供する、つまり社会全体で発達障害のあるお子さんとその家族を支えるといった考え方が大切だと思います。その多機関連携へのきっかけづくりにおいて、医療機関で開始できることを目指したいと思います。

◇ 倉敷成人病センター((電)086―422―2111)
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2014年09月15日 更新)

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