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岡山大で片頭痛国内初治療 6月から、心臓穴閉じ症状改善

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は21日、片頭痛患者に対し、心臓の小さな穴をカテーテルを使ってふさぐことで、症状を改善させる新しい治療を6月から行うと発表した。片頭痛は薬物療法が中心で、今回の治療法は国内で初めてという。

 循環器疾患集中治療部の赤木禎治准教授らのグループによると、片頭痛患者のうち40~60%の人が、心臓内部の壁に、通常は出生後、自然に閉じる卵円孔(らんえんこう)と呼ばれる1~2ミリの穴が開いたままになっており、病気との関連が指摘されてきた。

 治療は、太ももの静脈からカテーテルを入れ、先端に付けた二つの傘状の閉鎖栓(金属製、直径2センチ)を患部で開き、両側から挟んで穴を閉じる。時間は30分~1時間で身体への負担も少ないという。

 従来、脳梗塞の再発予防に用いられる方法で、同病院では卵円孔や、より大きな穴が開いて重篤な心房中隔欠損症で、昨年までに治療した38人のうち、片頭痛のあった19人中18人が症状の消失や改善があったと回答した。海外の研究でも有効との報告があるという。

 閉鎖栓を使った治療は研究目的としては実施可能だったが、治療としては国内で未承認のため、4月21日に同大倫理委員会で承認を受けた。16歳以上70歳未満で、投薬治療で改善しない人が対象。ただ、同病院は「全ての患者に効果が出るわけではない」とし、健康保険が適用されず、入院費を含め約130万円が自己負担となる。

 片頭痛は国内で成人の8・4%が発症し、患者数は840万人と推定。日常生活に支障を来すケースもあり、多くの人が苦しんでいるとされる。

 グループの高谷陽一医師(循環器内科)は「有効性を確認し、(保険診療と併用できる)先進医療へとつなげたい。片頭痛のメカニズム解明にも寄与できれば」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年05月22日 更新)

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