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サイバーナイフ治療4000例突破 岡山旭東病院、転移性脳腫瘍に威力発揮

治療実績が4000例を超えた岡山旭東病院のサイバーナイフ

治療時に装着する固定具(岡山旭東病院提供)

 頭蓋内や頭頸(けい)部の腫瘍などに対し、正確にエックス線を照射する定位放射線治療器・サイバーナイフ。全国で3番目、世界でも8番目に導入した岡山旭東病院(岡山市中区倉田)で、2000年6月に治療を開始して以来、治療実績が4千例を突破した。

 サイバーナイフは1990年代に米国で開発。細くて弱いエックス線を多方向から正確に照射することで、患部にエネルギーを集中させ、正常部分への影響を最小限に抑えることができる。先端にビームの照射口を備えたロボットアームは六つの関節を持ち、コンピューター制御で自由自在に動く。呼吸などに伴うわずかな動きに備え、照射位置を自動で補正する機能もある。

 治療の前に、湯につけて軟らかくしたメッシュ状の特殊なプラスチック素材を患者の顔に当て、一人一人に合ったマスク型の固定具を作製。治療時はこれを装着して頭部を固定する。CTやMRI画像で治療計画を立てた上で、治療を始める。照射時間は1回当たり30~40分で、痛みはない。治療後の副作用として、頭痛や吐き気などが出る場合がある。治療後は経過観察などのため、入院して様子をみるケースが多い。

 同病院では年間250~300例前後の治療を行っており、今年11月末現在で4065例。治療した疾患は、肺がんや乳がんなどを原発とする転移性脳腫瘍(2520例)が最多で、全体の6割以上を占める。深部にあって手術が難しかったり、多発性の腫瘍に威力を発揮。悪性リンパ腫や髄膜腫、聴神経鞘(しょう)腫などの治療も行ってきた。

 同病院では、数年以内には機械を更新し、治療できる部位を拡大し、治療時間の短縮も図る予定。津野和幸・サイバーナイフセンター長は「将来的には、肺がんや肝臓がんなど体幹部腫瘍の治療にも対応できるようにする。近隣の病院とも連携し、今後も症例数を重ねていきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2015年12月07日 更新)

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