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がん陽子線センター外来受け付け 津山中央病院、16年春オープン

「がん陽子線治療センター」内の陽子線照射室。患者は中央のベッドに横になり、奥側のガントリーと呼ばれる装置が回転することで、ピンポイントでがん部分へ陽子線を照射できる。左は脇医師

 津山中央病院(津山市川崎)が整備した中四国初の「がん陽子線治療センター」で、今春のオープンに先駆け、外来受け付けがスタートした。陽子線照射は、従来のエックス線より副作用が少なく、容体によっては通院治療も可能となるものの、部位や進行度によって適さないこともあるため、事前に適切かどうかを判断し、スムーズな移行を目指す。

 陽子線治療は放射線治療の一種で、がん細胞を透過するエックス線と異なり、ピンポイントで破壊できるのが特長。正常な細胞や臓器への影響が抑えられ、手術のような臓器摘出がないため、治療後の生活に支障を来さないメリットもある。

 がんの部位によって治療期間の長短はあるが、1回当たりの照射時間は1~3分。週3~5回繰り返し、合わせて10~40回程度行う。治療費は照射回数にかかわらず約300万円。実績が積み上がれば治療費のうち検査、診察に掛かる費用は保険適用となるが、当面は適用外。4月からは小児がんに限って保険適用となる見通しだ。

 同センターは、鉄筋コンクリート地上3階、地下1階延べ約3900平方メートル。同病院を運営する一般財団法人・津山慈風会(同所)が約60億円を掛けて整備した。共同で運用する岡山大病院(岡山市)と並行し、先月から外来を開始。医師からがんと診断を受け、同センターへの紹介状を持った患者を対象に受け付けている。

 津山中央病院では、陽子線治療の先駆け的存在である兵庫県立粒子線医療センター(同県たつの市)で1年間研修した放射線科の医師1人が担当。がんの部位や進行度、これまでの治療経過などから、陽子線治療が適切かどうか判断する。その後、患者と面接し、予想される成果や費用などを説明。現在、5人が治療予約を済ませており、春以降に照射をスタートさせる。

 担当する脇隆博医師(38)は「米国ではエックス線から陽子線へと急速にシフトしており、国内でもいずれそうなるはず。これまで治療が難しかったがんも、陽子線なら可能かもしれない。まずは相談してみてほしい」と話している。

 診察時間は月~金曜の午前9時~正午(予約制)。問い合わせは津山中央病院がん陽子線治療センター(0868―21―8150)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2016年02月09日 更新)

タグ: がん津山中央病院

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