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脳卒中治療で情報共有 倉敷市中心に16医療機関 患者向け健康手帳作成 退院後のケアにも期待

「くらしき脳卒中地域連携の会」が作成した「脳の健康手帳」

 倉敷市を中心に、脳卒中を治療する16の医療機関が、治療やリハビリ経過を記録する患者向けの「脳の健康手帳」を共同で作成した。患者に携帯してもらい、受診時に医師が記入する。医療機関側は治療情報を共有することで、発症直後から退院後の在宅ケアまでを把握しやすく、患者にも自覚を促す効果が期待できるという。

 脳の血管が詰まる脳梗塞(こうそく)や脳出血など脳卒中を発症した患者は、まず急性期病院で専門的治療を受ける。後遺症があればリハビリ病院に移って訓練するほか、退院後はかかりつけ医に通うなど、治療の進み具合によって医療機関が異なるのが一般的。転院時には医師らに紹介状などを書いてもらうが、情報が伝わりにくいケースもあるという。

 「脳の健康手帳」は、急性期治療を担う川崎医大、倉敷中央病院をはじめ、倉敷リハビリテーション病院などリハビリ病棟のある医療機関、開業医が昨年結成した「くらしき脳卒中地域連携の会」が、連携を強めようと作成。川崎医大病院の木村和美教授(脳卒中科)が編集した。

 手帳は、まず急性期病院の医師が発症した脳卒中の種類や部位、関連する心臓病、高血圧、糖尿病などの病歴、発症と退院時の状態を記入。リハビリ病院では訓練の結果、食事やトイレ、入浴などの介助の必要度がどう変化したか記す。さらに、医師向けに採血データと処方薬、患者用には家庭で測定した血圧を記録する欄などがある。

 脳卒中は日本人の死因でがん、心臓病に次いで多く、命を取り留めても患者の半数近くが寝たきりなど重い後遺症を抱え、長期のケアが必要。一方、国は医療費抑制のため入院期間の短縮を進めており、専門医とかかりつけ医の連携が課題となっている。

 同市は回復期のリハビリ病棟が岡山県全体の56・4%に当たる五百十一床(十医療機関)あり、治療の分担が進んでいる。患者は手帳を購入しなければならないが、転院のたびに同じ検査を受けなくても良いという。木村教授は「手帳をみれば患者の情報をすぐ把握でき、無駄が省ける。脳卒中の六割を占める脳梗塞は再発率が年5%と高いが、再発時も迅速な治療につながる」と期待している。

 A5判、九十七ページ。九百八十円。川崎医大病院内の書店で販売しているほか、同会に参加する医療機関でも扱う予定。問い合わせは同大脳卒中医学教室(086―464―1128)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2007年10月13日 更新)

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