文字 

(3)がん看護外来 倉敷中央病院がん看護専門看護師 平田佳子

がん看護外来では専門看護師・認定看護師が定期的にカンファレンスを開き、患者さんのケアについて意見交換している

平田佳子がん看護専門看護師

 がん患者さんが治療を受けられる場は手術などの入院治療の後は外来へ移行し、多くのがん患者さんが通院治療をしながら、日常生活を送られます。当院では通院されるがん患者さん・ご家族をサポートするための窓口として、がん看護外来を2014年10月に開設しました。

 がん看護外来は、がんについて専門的に学び日本看護協会が認定する「がん看護専門看護師」「がん化学療法看護認定看護師」「がん性疼痛(とうつう)看護認定看護師」の資格をもつ看護師4人で担当しています。希望される場合は、主治医や看護師に「がん看護外来を受診したい」と伝えてください。受診日に合わせて予約をお取りし、30分程度(初回は約1時間)の面談を行います。

 看護師は、患者さんが気がかりに思われていること、日常生活の中で困っていることなどをお聴きしながら、問題解決に向けて一緒に考えたり、具体的に症状緩和のためにできる工夫をアドバイスしたりしています。相談内容によっては、薬剤師やソーシャルワーカー、リハビリ療法士など他職種にも働きかけてサポートの必要性について検討し、必要があれば連携をとっていきます。「こんなことを医療者に聞いてもらうのは良くないのではないかと思う」と言われる患者さんがおられ、症状や気持ちのつらさを我慢されている患者さんが多いことを実感しています。

 そのような中で、最近は外来看護師が患者さんの気持ちのつらさをキャッチして、患者さんにがん看護外来を早めに紹介し、受診につながるケースが増えてきています。特に主治医に対して、患者さんは質問しづらいと感じている方が多く、そのような場合には、主治医への質問の仕方を具体的に提案したり、次回診察に同席したりすることもあります。

 がん看護外来で患者さんの気がかりを聞いて、こちらから必要な情報を提供することで解決する場合もありますし、主治医との橋渡しを行うことで患者さんに安心して療養を送っていただけるようにサポートする役割も担っています。また主治医からの依頼で病状説明に同席し、患者さん・ご家族が病状を理解し納得して治療や療養の場所などを決められるように支援しています。

 がん看護外来で何度か面談をさせていただいた患者さんから「なんで私ががんになったんだろう。この先、どうなっていくんだろうという先行きの見えない不安がある。でも、がん看護外来で話を聞いてもらって、不安だった気持ちが楽になり、前向きに生きようと思えるようになった」という言葉をいただきました。また、抗がん剤治療による手足の痛みとしびれが強かった患者さんから「ここに来て、いろいろとアドバイスをもらえ、先生とも相談して薬が増えたことで激しかった痛みが落ち着いた。しびれはまだ残っているけど、痛みが和らいだのでこれならやっていけそう」と、日常生活を過ごしやすくなったという報告もいただきました。

 がん治療の過程では、心身の状態が良いときもあれば、あまり良くないときもあります。不安になったとき、疑問を感じたときは、一人で抱え込まずにがん看護外来をご利用いただきたいです。話をすることで、少しでも気持ちが楽になってご自宅へ帰っていただければと思っています。

     ◇

 倉敷中央病院(086―422―0210)

 ひらた・よしこ 玉野光南高校、高知女子大学(現高知県立大学)家政学部看護学科卒、同大学大学院看護学研究科修士課程修了。1999年から倉敷中央病院に勤務。2009年からがん看護専門看護師として活動している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年03月06日 更新)

タグ: がん倉敷中央病院

ページトップへ

ページトップへ