文字 

(5)病棟における看護師のサポート 倉敷スイートホスピタル病棟科長 淺野由珠子

淺野由珠子病棟科長

 前回は関節リウマチの手術療法について話がありました。今回は関節リウマチで入院された患者さまへのサポートについて、看護師の視点からお話しさせていただきます。

 関節リウマチで病院へ入院される理由は主に二つあります。一つ目は、前回ご説明しました関節リウマチ治療の一つである「手術療法」を受けられる場合の整形外科的入院です。二つ目は、関節リウマチの症状が悪化し日常生活が著しく障害されたときに、「新規薬物治療を開始したり変更する」ことが必要な場合の内科的な入院です。そのほかにも日常生活の中で偶発的に起こる肺炎やけがでも入院が必要となることがあります。

 まず整形外科的入院のことについて述べます。関節リウマチだけでなくどの手術でも同じですが、手術を受けられる患者さまは、手術に対して不安と期待を持って入院してこられます。実際に手術室に入るまでの恐怖感は計り知れないものかと思います。さらに手術後の入院生活や退院後の生活動作への不安に加え、それ以後の現実的な経済的不安も抱えておられます。患者さまの多種多様な不安に耳を傾け、リハビリテーションスタッフや医療ソーシャルワーカーのほか、ケアマネジャーといった各専門職への橋渡しをして、患者さまの不安を解決する手段を探る事も看護師の役割です。実際の手術前の病室で、私たち看護師は「手術をするとどんな事が困るか」「どのくらいの入院期間が必要か」「どのような事に気を付けると良いか」など、患者さまが安心していただけるよう説明します。

 手術を受けた後は約1カ月、リハビリテーションを行い、関節機能が回復したのち、日常生活に戻っていただきます=図。入院中には、患者さま自身に関節リウマチという病気について理解していただく機会を作ってご案内したり、前々回の紹介記事にも掲載しましたが、足病変に対して術前術後の入院期間を通してフットケアを施行しています=写真。具体的には、病棟看護師が患者さまやご家族さまに対し、日常生活で注意する点、靴の選び方、足の洗い方や変形を予防する運動など、さまざまな指導をさせていただき、有意義な入院生活を過ごしていただくよう努めています。

 次に内科的な入院について述べます。関節リウマチと診断され、外来での薬物治療を受けられているにもかかわらず、病気の勢いが強いために日常生活に障害が起きた場合に、入院し安静に生活していただく場合があります。そういった患者さまに対して、日常生活動作の介助のほか、精神的なケアも行います。きちんとした薬物治療と十分な看護のもと、ゆったりとした気持ちで入院生活を送っていただくことで、少しでも痛みが和らげば…ということが私たち病棟看護師の思いでもあります。ほとんどの患者さまは、今後の生活や治療効果への不安を抱えておられます。私たち看護師は、医師からの薬物治療についての説明では不十分なところを、分かりやすく補足説明を行い、日常生活での注意事項もお示しし、さらに感染症予防の仕方や合併症の早期発見についても教育・指導することで、患者さまの不安を軽減できるよう努めております。

 その他にも、肺炎やけがのほか、心臓や消化器合併症など、さまざまな原因で入院してこられます。どの患者さまへも、看護師は常に身近な存在として入院生活を援助させていただいております。

 次回は、関節リウマチの病態別骨格筋量と音楽療法の有効性について、リハビリテーション部門からお話しさせていただきます。

     ◇

 倉敷スイートホスピタル(086―463―7111)

 あさの・ゆきこ 川崎医療短期大学卒。川崎医科大学付属病院、重井医学研究所付属病院を経て2012年から倉敷スイートホスピタル勤務。14年4月から現職。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2017年04月04日 更新)

ページトップへ

ページトップへ