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脳卒中治療に患者情報共有 岡山県南東部20病院 地域連携パス試行 県内初 転院時の無駄改善

岡山医療センターが作成した患者用のクリティカルパスのサンプル

 治療や看護の内容、日程の標準モデルを示した「クリティカルパス」を、脳卒中の治療に携わる岡山県南東部の20の医療機関が今年から共同で試験導入した。発症直後に運ばれる急性期病院とリハビリを担う回復期病院が患者情報を共有でき、転院時のリハビリメニュー重複などの無駄を省いて在院日数の短縮を図るとともに、各医療機関で同水準の医療が受けられることが期待されている。

 岡山保健所によると、脳卒中治療で地域連携パスと呼ばれる共通のパスを採用する試みは県内で初めて。

 従来はリハビリで急性期病院から転院した際、系列病院を除いて患者の治療情報が引き継がれず、患者に合ったリハビリが行われないケースがあった。

 このため、同保健所が岡山、玉野、赤磐、瀬戸内、備前、和気、吉備中央の計七市町の二十病院に呼び掛け、昨年十二月から導入に向けて協議を進めてきた。

 当面は同様の制度を先行している香川県のパスを使い、問題点を改善した後、最終的に岡山方式のパスを作成する考え。

 幹事病院の一つ、国立病院機構岡山医療センター(岡山市田益)の大森信彦地域医療連携室長は「リハビリ結果も急性期病院にフィードバックされるため、患者の状態に合わせた治療計画が作成できる」と話す。熊本県では在院日数が急性期病院で46%、回復期病院で29%減少したという。

 岡山保健所の二宮忠矢所長は「糖尿病やがんなど他の病気にも適用できる。県全体の取り組みに広げたい」としている。

 同保健所などは十五日午後一時半から岡山衛生会館(岡山市古京町)で、この取り組みなどを報告する講演会を開く。申し込み、問い合わせは十四日までに同保健所保健課(086―272―3950)。


ズーム

 クリティカルパス 入院から退院までの治療内容や検査項目などをスケジュール表の形式で示したもの。患者は自分がどの治療段階にあるか分かり、病院側も医師や看護師らスタッフがケア内容を共有できるため、チーム医療を進める上でもメリットがある。米国で開発され、普及が進む。クリニカルパスとも言う。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年03月13日 更新)

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