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一人で悩む姿浮き彫り 性同一性障害  岡山大の中塚教授ら調査 日常、特徴的サイン 早い段階での支援重要

中塚幹也教授

 肉体的な性別と心の性別が一致しない性同一性障害の当事者たちは子どものころ、性別に違和感を覚えながらも一人で悩んでいる実態が、岡山大医学部保健学科の中塚幹也教授らの調査で分かった。日常生活では特徴的なサインを出していることも分かり、中塚教授らは学校など周囲が早い段階で気付き、支援することが重要としている。

 調査は、同学科四年の藤井友紀さん(22)とともに、同大病院を受診した「体は男性で心は女性」の当事者三十二人(二十―五十七歳)にアンケート。幼児期から思春期のころ、性同一性障害に関する知識をどう知り、どんな遊び方や服装、言葉遣いをしていたかなど、七十四項目を尋ねた。

 「性同一性障害をどこで知ったか」の質問(複数回答)ではインターネット、テレビ、新聞などの順で多く、「教師から」「家族から」はともにゼロだった。

 「家族以外で悩みを話せる相手がいなかった」と二十七人(84%)が回答し、十九人(59%)が「恥ずかしさや勇気がなくて、周囲に早く伝えられなかったことを後悔している」とした。

 外見は男性だが内面は女性のため、普段の生活面では、男性物の服を着ることに抵抗感を持った(二十八人、87%)▽着せ替え人形やままごとで遊ぶ(二十六人、81%)▽自分を「わたし」と呼ぶ(二十三人、71%)▽化粧したりアクセサリーを身に付けたりして遊ぶ(二十二人、68%)―などの傾向が顕著だった。

 今後は、今回とは逆の「体は女性で心は男性」の当事者についても、同様の調査を実施。子どものころの特徴的な傾向をまとめて「サインリスト」を作成し、家族や教諭らが当事者に対応する際に役立ててもらう考え。

 中塚教授は、早期の支援により、性同一性障害の自覚がなく自分が何者か分からない苦しみも和らぐと強調。「ただ、サインがあるからといって、すぐ当事者と決めつけるのではなく、正しい知識を身に付けた上で接してほしい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年03月23日 更新)

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