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院外で性別適合手術 岡山大病院 光生病院に医師派遣 施設不足を補う

 心と体の性が一致しない性同一性障害の治療施設・岡山大病院ジェンダークリニック(岡山市鹿田町)は十四日から、性別適合手術の一環として乳房切除術を初めて院外の医療機関で手掛ける。治療可能な施設を増やし、長期間手術待ちを強いられる当事者の環境改善を図る考えで、本格的な性別適合手術実施も視野に入れた取り組み。

 実施施設は光生病院(同市厚生町)。同大病院で性同一性障害と診断され、手術の必要性が認められたFTM(心は男性で体は女性)の人が対象で、乳房を切り取り男性的な胸にする手術を行う。中国地方に住む十九歳が第一例となる。

 担当医師は、百十例の乳房切除術を手掛けた岡山大病院形成再建外科の難波祐三郎准教授ら二人。月二例ずつ行い、術後管理は主に光生病院が当たる。

 現在、日本精神神経学会のガイドラインに沿って乳房切除術を行えるのは全国で十施設足らず。中四国、九州地方唯一の施設である同大病院では月に五、六例程度で、一年以上手術を待つ人も多い。このため施設不足解消策として二月、同大病院が光生病院に協力を要請していた。

 光生病院の佐能量雄理事長は「性同一性障害の方が安心して来院できる体制づくりを進めてきた。岡山大と連携して、少しでも当事者の環境を改善したい」とする。

 当面は乳房切除術だけだが、産科婦人科や泌尿器科など他科の協力が得られれば、同大病院など現在、全国で四施設しか実施していない子宮や卵巣、精巣の摘出を伴う性別適合手術も行う計画。

 難波准教授は「西日本から患者が集まってくるが、現状ではなかなか要望に応えきれない。手術できる施設を増やすことで、障害に苦しむ当事者を一人でも多く救いたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月12日 更新)

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