文字 
  • ホーム
  • 岡山のニュース
  • 累進屈折力眼鏡 小学生の近視進行抑制 岡山大大学院グループ 国内初 臨床試験で確認

累進屈折力眼鏡 小学生の近視進行抑制 岡山大大学院グループ 国内初 臨床試験で確認

長谷部聡講師

 老眼の矯正で多く使われる「累進屈折力眼鏡」が、通常の眼鏡に比べて子どもの近視の進行抑制に一定の効果があることを岡山大大学院の長谷部聡講師(眼科学)らのグループが国内初の臨床試験で確かめた。近視予防の研究につながる成果として注目され、眼科分野で最も権威のある米国の学術誌「IOVS」に掲載された。

 近視の進行は、近くを見る時、焦点がうまく合わずに網膜の後ろにずれる「調節ラグ」が原因の一つと言われている。この状態が長く続くと、ずれに合わせて眼球が前後に伸びるため、遠くを見る時に網膜より手前に焦点が移って像が不明りょうとなる。

 累進屈折力眼鏡は、調節ラグを小さくするためにレンズの度数を上部から中央、下部にかけて連続的に変化させた構造。海外では近視が進むのを遅らせるとの報告があるが、国内での実証研究はなかった。

 長谷部講師らは、県内を中心に近視の眼鏡をかけている六歳―十二歳の小学生九十二人に協力を依頼。無作為に二グループに分け、累進屈折力眼鏡と通常の眼鏡をそれぞれ一年半ずつかけてもらい、三年間の経過を調べた。

 その結果、近視の進行度を表す屈折値の減少幅が前半の一年半では通常の眼鏡のグループに比べ平均22%少なかった。ただ、近視がさらに進んだ後半ではあまり変わらず、三年間の減少幅は平均15%だった。

 通常の眼鏡に直ちに代わるほどではなかったが、長谷部講師は「テレビや本から目を離して見るといった調節ラグを減らす方法が有効なことを科学的に証明できたのでは」と指摘。「近視の進行は将来の失明リスクを増すことが最近、明らかになっている。今後の近視予防研究の弾みになれば」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月28日 更新)

タグ: 健康子供岡山大学病院

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ