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覚醒状態で脳動脈瘤手術 岡山赤十字病院 合併症減少狙い

小野田恵介第二脳神経外科部長

 岡山赤十字病院(岡山市青江)は、脳動脈瘤(りゅう)の破裂を防ぐ「クリッピング手術」の際、麻酔を覚まして意識がある状態で行う手法に成功した。手術の感覚を患者に確かめながら進めることで精度を高め、運動障害など合併症の発生率を減らすのが狙い。同病院は「脳腫瘍(しゅよう)では例があるが、脳動脈瘤は国内初ではないか」としている。

 脳動脈瘤は、脳動脈の分岐部にできる風船のような「こぶ」で、破裂すればくも膜下出血を起こし、死亡するケースも多い。クリッピング手術は目尻の横に穴を開け、脳内にわずかなすき間をつくってチタン製クリップを入れ、動脈瘤の根元をふさいで破裂を防止する。

 今回の手術は、小野田恵介第二脳神経外科部長(45)が8月中旬、岡山市の50代女性に実施。通常の全身麻酔の代わりに局所、静脈麻酔などをした後、動脈瘤をふさぐ前に麻酔を弱めて覚醒(せい)させ、言葉や手足の動きなどの感覚に違和感がないかを確認しながらクリップ(約7ミリ)を取り付けた。覚醒後も痛みはなく、女性は10日後に退院し経過も順調という。

 全身麻酔と比べ、患者の不測の動きに一層の注意を要するため、頭部の固定に加え、せきが出ないようのどに処置をした。小野田部長は「動脈瘤が破れたり患者がおう吐するなどの事態にも備え、万全の態勢で臨んだ。今後も症例に合わせ取り組んでいきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年09月06日 更新)

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