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骨粗しょう症の予防法 バランス良い食事と適度な運動大切 岡山大病院・千田益生准教授に聞く

エックス線で骨密度を測定する専用機器。検査はわずか数分で終わる

 骨の量が減り、内部がスカスカになってしまう「骨粗しょう症」。骨がもろくなったお年寄りが転ぶなどして太ももの付け根を骨折すれば、寝たきりになってしまう怖い病気だ。岡山大病院総合リハビリテーション部(岡山市鹿田町)の千田益生准教授は「予防には若い時の“蓄え”がものをいう。適度な運動とバランスの良い食事を」と呼び掛けている。8日は「骨と関節の日」―。

 体内では、骨を壊す「破骨細胞」とつくりだす「骨芽細胞」が活動、常に骨代謝が起こっている。一般的に年齢を重ねるほど、破骨細胞が強くなり骨量が減少。骨量がピークになる20代に比べ、2、3割減った状態が骨粗しょう症だ。

 特にかかりやすいのが高齢の女性。骨がもともと女性は男性より細いうえ、ホルモンも大きく影響する。閉経後は骨をつくる源である女性ホルモンの分泌が減り、骨量の減少スピードがアップ。女性に多くみられるのはこのためという。

 では、骨粗しょう症を防ぐにはどうするか。千田准教授は「骨を“貯蓄”できる10代での規則正しい生活が何よりも重要。無理なダイエットやインスタント食品漬けの生活は絶対に避けて」とする。

 中高年者でも骨量の減少スピードを緩やかにすることはもちろん可能だが、ここでもバランスの良い食事と適度な運動が鍵を握る。

 食事は「カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを効果的に取ることが必要」と千田准教授。カルシウムは、1日当たり800―1000ミリグラムを摂取するのが理想的で、多く含まれる食品は干しエビ(5グラム)の355ミリグラム、牛乳(200ミリリットル)の220ミリグラムなど。ビタミンDはキクラゲやサケ、ビタミンKは納豆やホウレンソウに多い。

 運動はウオーキングやストレッチ、水中エクササイズなどを推奨。千田准教授は「決して無理はしないでほしい。ウオーキングは30分ほど軽く汗をかく程度に」と指導する。

 静かに進む病気のため、自覚症状が出た時には症状がかなり進行しているケースも。まずは自分の骨の状態を知ることが大事で、骨密度は市町村の検診や医療機関で測ることができる。検査はエックス線や超音波などを用いた骨密度測定機器などを使用。わずか数分ですみ、痛みはない。

 治療は薬物療法が中心になる。開始基準は若年成人平均値(20―44歳、YAM)が70%未満では必ず、70%以上80%未満でも閉経後の女性や、50歳以上の男性で過度のアルコール摂取や喫煙があれば対象。

 千田准教授は「薬物療法で増える骨量は年間にわずか数%で、治療が長期間にわたることもしばしば。規則正しい生活習慣を身に付け、事前に防ぐのが一番」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月08日 更新)

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