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高松・受精卵取り違え 早期の検査法示さず 担当医 実施例少なく「危険」

 香川県立中央病院(高松市番町)の受精卵取り違え問題で、病院が、親子関係の鑑定手法のうち早期の段階で実施可能な 絨毛 ( じゅうもう ) 検査の存在を、妊娠女性に提示していなかったことが、22日までの病院の説明で分かった。

 病院は取り違えの疑念が発覚した後、昨年11月上旬、女性に通常妊娠15週ごろに羊水を取って行う羊水検査の存在を説明。絨毛検査はより早い段階の妊娠10週前後で実施可能だが、同病院産婦人科の川田清弥医師(61)は「国内で(ほとんど)行われておらず、危険と判断した」という。女性は妊娠9週に当たる同月中旬、人工妊娠中絶した。

 絨毛検査は、胎児の遺伝病などの有無を調べるのが主目的で、胎盤の一部である絨毛を採取して行う。生殖医療医の中には「流産などのリスクもあり、大学病院クラスでも実施例は少ないはず」(岡山県内の医師)との見方もある。

 一方、生命倫理に詳しい粟屋剛岡山大大学院教授は「実子である可能性もゼロでない段階での病院の判断は、女性の選択肢を狭めたことになる。鑑定手法とリスクをすべて示し、女性が希望すれば実施可能施設を紹介する対応が望ましいだろう」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年02月23日 更新)

タグ: 女性岡山大学病院

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