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死後生殖 大学生6割が肯定的 岡山大大学院・粟屋教授ら調査

 凍結保存していた精子を使い夫の死後に妊娠、出産する「死後生殖」について、大学生の約6割が肯定的な考えを持っていることが、岡山大大学院の粟屋剛教授(生命倫理)らによる意識調査で分かった。

 死後生殖に関しては意思確認の難しさや倫理的問題などから、学会と司法で否定的見解が出されている。粟屋教授は「学生の多くが賛成したことは、学会や裁判所と国民の意識にずれがある可能性を示している。幅広い年代や海外を対象とした調査を進め、問題点を浮き彫りにしたい」としている。

 調査は2007年12月、全国32大学の学生5102人を対象に実施。3719人から回答を得た(回答率72・9%)。

 死後生殖について「賛成」と答えたのは8・9%。「どちらかといえば賛成」の53・4%を含めると62・3%が肯定した。理由(複数回答可)としては「夫の生前の意思は尊重されるべき」が76・2%と最も多かった。「反対」は6・1%、「どちらかといえば反対」が31・6%だった。

 死後生殖の当事者となった場合、子どもを残したいかとの問いには、条件付きの回答も含めて66・5%が「残したい」と回答。亡き夫の子として「死後認知」すべきかどうかについては、89・8%が「認めたほうがよい」とした。

 死後生殖は、日本産科婦人科学会が2007年4月に禁止する見解を会告(指針)に盛り込んだほか、最高裁も親子関係を認めない判断を示している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年07月09日 更新)

タグ: 岡山大学病院

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