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岡山大発、がん治療薬 中国で実用化へ 抑制遺伝子を応用 短期間での承認狙う

公文裕巳教授

 岡山大発のベンチャー企業「桃太郎源(げん)」(岡山市北区津島中、塩見均社長)と、東証一部上場の医薬品開発業務受託企業「イーピーエス」(EPS、東京)が提携し、中国で、同大の研究成果を基にしたがんの遺伝子治療薬の開発・販売に乗り出すことが17日、分かった。中国は国内や欧米に比べ新薬承認までの期間が短いとみられ、5年以内の実用化を目標にしている。

 桃太郎源などによると、開発するのは、岡山大が発見したがん抑制遺伝子「REIC(レイク)」を、患部への運び役となる「アデノウイルス」に組み込んだ治療薬。中国で患者の増加が懸念されている悪性中皮腫の治療に用いる。

 桃太郎源がREICに関するノウハウと、中国での開発・販売権をEPSに供与。EPSの中国法人が臨床開発を進める。両社は17日に契約を結んだ。

 計画では2010年に、中国国内で製剤化し、動物を使った前臨床試験を始め、11年に中国国家食品医薬品監督管理局(SFDA)に治験開始を申請。実施許可を得て、ヒトへの第一段階の臨床試験に入り、数年後に同国での承認、販売開始を目指している。

 中国では既に、別のがん遺伝子治療薬2種類が実用化されている。遺伝子治療薬が認可されているのは同国だけで、承認プログラムが構築されていることなどから、実用化までの期間を大幅に短縮できるとみられる。

 REIC研究に携わり、桃太郎源の取締役も務める岡山大大学院医歯薬学総合研究科の公文裕巳教授は「REICの力が迅速に実証でき、岡山発の薬剤が世界で実用化される確かな足がかりとなる。医療産業の集積を目指す岡山県経済にも大きな波及効果が期待できる」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年11月18日 更新)

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