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小児の心臓再生医療 基礎研究を承認 岡山大倫理委

王英正准教授

 岡山大の倫理委員会(佐々木順造委員長)は15日、先天性心疾患の子どもを対象に行う、幹細胞を用いた心臓の再生医療に関する基礎研究を承認した。申請は同大病院の王英正・循環器疾患集中治療部准教授(循環器内科学)らのグループで、2010年1月から患者の子どもに心臓細胞の一部を提供してもらいデータを収集。命にかかわる小児の心不全の新しい治療法確立を目指す。

 患者自身の心臓から、特定の細胞や組織に分化したり自己複製能力を持つ幹細胞を取り出して培養後に心臓に戻し、心筋の一部を再生する手法の確立が狙い。臨床研究を「早ければ10年中にも始めたい」としており、着手すれば岡山大が小児の心筋再生医療分野で世界的に先行することになる。

 同様の研究では、京都府立医科大などが成人患者対象の研究で先行。同大などで一連の研究を手掛け、岡山大病院に9月赴任した王准教授は「成人と小児では疾患の性質が大きく異なり、研究も別々に行う必要がある」としている。

 同病院心臓血管外科で手術を受ける先天性心疾患の小児患者(0―6歳)から、同意を得た上で右心房の一部(100―250ミリグラム)を採取し、細胞分化などに関する基礎データを収集する。目標は約5年間で100例。

 また、基礎研究と並行して臨床研究の準備も行う。王准教授は「早い段階で臨床研究に着手し、将来的には人工多能性幹細胞(iPS細胞)技術との融合も進め、より心筋再生に効果的な治療法につなげたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年12月16日 更新)

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