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認知症の理解と予防 加藤伸司氏、浅口で講演 生活習慣病や肥満、喫煙 発病リスク高める

認知症の危険因子や予防法などについて話す加藤さん

 高齢社会の大きな課題である認知症。2月下旬、浅口市主催の認知症セミナーが同市内で開かれ、認知症介護研究・研修仙台センター長の加藤伸司氏が「認知症の理解と予防」と題して講演。市民ら約200人が、症状や介護のポイント、予防対策を学んだ。要旨を紹介する。

 1990年代初めの国の調査で、65歳以上の人の認知症の出現率は8~9%。全国の65歳以上の13人に1人が認知症になる計算で、85歳以上では4人に1人の割合です。人ごとではありません。

 認知症には種類があり、代表はアルツハイマー型認知症。脳が病的に萎縮(いしゅく)していきます。脳血管性認知症は脳卒中や脳梗塞(こうそく)が原因。そのほかにも幻視やパーキンソン症状を合併するレビー小体病、人格変化や反社会的行動をとる前頭・側頭型認知症などがあります。

 私たちも物忘れをしますが、認知症の人は、体験全体を忘れてしまいます。例えば、皆さん、今日は朝ご飯を食べましたか? 何を食べましたか? 食事の内容を思い出せないことはよくありますが、認知症の人は食べたこと自体を忘れてしまうのです。

 認知症には物忘れや場所、時間が分からないといった中核症状があって、これを治すことはできません。でも、徘徊(はいかい)、妄想など心理的、社会的要因で起こる行動・心理症状は、適切なケアで随分よくなることがあります。

 介護する人がイライラして大声を上げると、認知症の人はますます混乱して症状が悪くなる悪循環に陥ります。物忘れを責めず根気よく付き合う、複雑なことを伝えず判断材料を限定して伝えるといった対応が必要です。

 最後に予防です。認知症を完治させることはできないので、発病を防ぐ1次予防と、早期発見して進行を遅らせる2次予防があります。とくに1次予防について話しましょう。

 アルツハイマー型認知症は年を取ると増加し、男性より女性に多い。遺伝することもある。これらはどうすることもできませんが、認知症のリスクを高める高血圧や高脂血症、糖尿病など生活習慣病の予防は可能です。肥満やたばこ、悲観的な姿勢の人も認知症になりやすいとされています。注意してください。

 予防効果があるのは、食べ物ではまず魚。オレンジ、イチゴ、緑黄色野菜、大豆などもいい。日本の昔ながらの食生活が、健康だけでなく認知症の予防にもつながる。お酒は適量。運動や読書、楽器といった趣味を持つことも大切です。仲間と旅行の計画を立てたり、碁や将棋を楽しむのもお勧めです。

 これらをまとめた予防の「公式」を、私の学生が考えてくれました。公式の「こ」は交流。「う」は運動。「し」はバランスのよい食事。「き」は休息で、無理せず疲れたら休む。この4つを心掛けましょう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年03月10日 更新)

タグ: 脳・神経健康介護高齢者

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