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第1回 川崎医大病院 tPA治療 木村和美教授(脳卒中科) 劇的に回復も、「時間が勝負」

新薬tPAを持つ木村教授

 〇五年十月、脳梗塞を治す血栓溶解剤の新薬tPAが保険認可され、木村教授は倉敷市消防局と発症三時間以内に治療開始できる患者搬送システムをつくり、画期的な治療成績を挙げている。

 血の塊(血栓)が血流を阻害し、脳細胞を破壊して半身まひ、言語障害を起こす脳梗塞。致死率が高い。「tPAは血栓を溶かす効果がある。しかし三時間以上たって投与すると脳出血を起こす。早ければ、後遺症も残らない」と木村教授。

 この二年間で中四国・九州では最多の六十例に投与。四割が社会復帰した。つえの生活が二割、車いす、ベッドの生活が三割、死亡一割。全国平均は社会復帰三割、死亡二割。

 救急隊員に脳梗塞の見極め方、脳梗塞の重症度を判別する点数表の評価法などを講義した。救急隊員と脳卒中科医が直接話すホットラインを開設。容体、到着時間を確認できるようにした。病院に到着すると十五分でCT(コンピューター断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴画像装置)などの画像診断をすませ、三十項目の適応基準をチェック、腕の静脈にtPAを点滴する。

「一割は点滴中に劇的に回復し、左上下肢まひの腕が上がったり、言語障害であったのが話し出す。時間が勝負。とにかく早く私たちの脳卒中科へ到着してください」。ドクターヘリでの搬送九件も有効だった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年01月22日 更新)

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