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第1回 川崎医大病院 肺がん手術 中田昌男教授(呼吸器外科) 6割が負担軽い胸腔鏡で

肺がん治療に取り組む中田教授

 呼吸器外科に取り組んで十七年、肺がん手術は千例を突破した。その六割が 胸腔 ( きょうくう ) 鏡手術、術後の痛みが少なく、退院が早いことで患者の負担が軽い。全国でも早く取り組み、十三年の経験を持つ。

 五年生存率は1A期(がん三センチ以下でリンパ節転移なし)83%、1B期(三センチ超でリンパ節転移なし)67%、2期(肺門部リンパ節転移)60%、3A期(縦隔リンパ節転移)40%、3B期(周辺臓器に浸潤)12%。

 1A期は手術切除、1B、2期は手術で完全切除後、抗がん剤の化学療法を行う。3期は手術対象にならず、化学、放射線療法を主に実施、がん病巣が小さくなれば手術する。

 五十代の患者が「肩が痛い」と来院。PET(陽電子放出断層撮影装置)診断の結果、右肺に六センチのがんがあり 胸椎 ( きょうつい ) に浸潤した3Bだった。呼吸器内科で抗がん剤投与、放射線科で照射治療。二カ月後、がんが縮小したところで呼吸器外科で手術。右肺上葉切除、胸椎部分切除、 肋骨 ( ろっこつ ) 三本を切除した。肩の痛みは消え、現在、社会復帰している。

 「今は呼吸器外科でも化学療法をする時代です」と中田教授。清水克彦外科医が日本臨床 腫瘍 ( しゅよう ) 学会がん薬物療法専門医になり、切除手術、抗がん剤投与と呼吸器外科でも総合的に対応している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年01月22日 更新)

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