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第16回 竜操整形外科病院 肩の関節鏡手術 濱浪医師 傷小さく負担軽減 腱板断裂中心 2年で70例

関節鏡を手に肩の手術を解説する濱浪医師

 傷が小さく、患者の体の負担が軽い内視鏡手術。濱浪一則医師(45)はその一つの肩の関節鏡手術を岡山県内でいち早く始め、お年寄りの肩の痛みで多い 腱 ( けん ) 板断裂を中心に、二年間で約七十例を重ねている。

 腱板断裂は肩の筋肉が上腕骨につく腱板という部分が老化やけがで切れ、痛みや運動障害を起こす。「五十肩と思っていても腱板が切れている場合がある」と濱浪医師は早めの受診を呼び掛ける。五十代までの若い患者や、六十代以上でもリハビリや注射で痛み、肩の動きが回復しない場合に手術を勧めている。

 手術は肩を四―六カ所、七ミリずつ切開し、そこから先端にカメラがついた内視鏡と手術器具を挿入。関節内部の映像をモニターで見ながら、腱板を骨に縫いつけ固定する。全身麻酔で行う。

 手術後は装具を着け肩を固定し、三―六週間で退院。三カ月後には日常生活の制限がなくなり、半年で重労働も可能となる。

 肩を六―七センチ切開する従来の手術に比べると、「傷が小さい分、患者の痛みは少ない。早くリハビリに入れるため、手術後に筋肉が固まり動きにくくなる拘縮も減らせる」という。医師としても「関節内部が奥までよく見えるので確実に治療できる」と長所を挙げる。

 ただ、内視鏡を思い通りに操るには経験に基づく技術が執刀医に求められる。濱浪医師はこの手術で実績がある船橋整形外科病院(千葉県船橋市)で半年間、技術を学び、二〇〇六年四月から始めた。反復性肩関節脱臼の治療でも使っている。

 関節鏡手術は半月板や 靱帯 ( じんたい ) の損傷などひざの治療で既に定着しているが、肩の治療ではまだ少ない。濱浪医師は「メリットは大きく、将来的には肩の手術も、可能ならすべて関節鏡で行うようになるだろう」と語っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月27日 更新)

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