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第16回 竜操整形外科病院 人工関節手術 感染症防ぐ クリーンルーム

人工関節に置き換えたひざの模型を示し、手術について説明する佐藤医師

 老化に伴う変形性関節症や関節リウマチでひざ、 股 ( こ ) 関節の傷みが激しい場合、人工関節手術が治療の選択肢となる。竜操整形外科病院は二〇〇六年、この手術を九十八例実施。岡山県内で倉敷中央、岡山大、岡山労災病院、岡山医療センターに次ぐ有数の治療実績がある。また、セラミックを用いて独自に開発した人工股関節の手術も通算五百例に達している。

 執刀医の一人で、ひざの人工関節手術を過去約五百例行っている佐藤隆三医師(56)はこの手術について「つえを使わないと歩けない、夜眠れないなど日常生活の支障が著しい痛みを取り除く最後の治療手段」と位置づける。同病院の場合、おおむね六十―七十代以上で投薬や関節への負担を軽くする装具、リハビリの効果がない患者に手術を勧めている。

 これより若い患者には、すねの骨を切り脚を矯正する「 骨 ( こつ ) 切り術」という手術を行うこともある。人工関節には寿命があり、若いうちに入れると再手術が必要になる恐れがあるからだ。

 手術はひざの前面を十センチ弱か、股関節の横を十―十三センチ切開し、傷んだ関節の骨を除き、金属とセラミック、ポリエチレンで作られた人工の部品に置き換える。手術時間は一時間半程度。ひざは腰 椎 ( つい ) 麻酔、股関節は腰椎か全身麻酔で行う。

 ひざは手術後三―四週間、股関節は三―六週間で退院できる。ひざの場合、一〇〇―一三〇度曲がるようになり、「正座は難しいが、歩くのは楽になる。除痛効果は安定している」と佐藤医師。

 手術で怖いのは感染症。関節の破壊にもつながり、ひどい時は手術のやり直しが必要となる。その対策として、同病院は新築の北棟に人工関節手術用のクリーンルームを整備。昨年十一月から使っている。佐藤医師は「より安全に手術できるようになった。高齢化もあり、さらに手術件数が増えそうだ」と語っている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年05月27日 更新)

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