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第19回 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院 大腸内視鏡 ポリープや早期がん 開腹せずに切除治療

大腸内視鏡を操作し検査する瀧上院長(右)

 一年前、四十代の女性患者が来院した。症状は出血で、一度きり。痔と考えるのが自然だったが、内視鏡検査を行うと大腸内で出血しており、早期がんの段階に当たる一センチ超の腫瘍が見つかった―。

 「お尻からの出血は痔ではなく、実は大腸のポリープやがんが原因となっていることもあります。お尻の症状だからと言って、気後れは禁物です」。瀧上隆夫院長は、肛門の奥に潜む“見えない敵”への油断を戒める。

 瀧上院長は、痛みが少ない大腸内視鏡検査法を編み出した日本人・新谷弘実医師を訪ね、米国ニューヨークに留学。チクバでは帰国後の一九八三年から取り組む。

 これまで手掛けた検査数は約六万件。切除治療も含め年間三千五百―三千七百例に上り、キャリアは中四国トップクラス。「大腸内視鏡に関する国内の歴史と軌を一にしてきた」と言う。

 検査は、大腸内視鏡を肛門から挿入する。直腸やS状結腸、下行結腸などを経て盲腸に至る大腸約二メートルの範囲で、本来ピンク色をした腸内の色調の変化や盛り上がった部分(隆起性病変)の有無について、内部を映すモニター画面に目を凝らす。検査自体の時間は数分しかかからない。

 ポリープや早期がんの場合、開腹せずに内視鏡による治療も可能。大きな病変でも金属製ワイヤの輪に電流を流して患部を焼き切る「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」で、数回に分割して病巣を切り取ることが可能だ。

 検査技術の進展は日進月歩で、CT(コンピューター断層撮影装置)を使った新検査法も登場する中、瀧上院長は「内視鏡による治療は患者の体に優しい手法として注目を集めており、今後、さらに発展するだろう」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年06月24日 更新)

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