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第19回 チクバ外科・胃腸科・肛門科病院 潰瘍性大腸炎、クローン病 薬物、栄養療法で炎症に対処

潰瘍性大腸炎などの治療方針を話し合うスタッフ

竹馬彰副理事長

 大腸に潰瘍ができる潰瘍性大腸炎。大腸以外に口から胃、小腸、肛門など“食べ物の通り道”で、粘膜がただれるクローン病。根本的な治療法はなく、国の特定疾患に指定されている二つの病気も、竹馬彰・副理事長らスタッフの診察領域だ。

 潰瘍性大腸炎は度重なる下痢が初期症状で、やがて血便や腹痛を引き起こす。「二十―三十代と五十―六十代での発症が多い」と竹馬副理事長。症状が軽い場合は、5―ASA製剤とステロイドを併用する薬物療法で対処する。

 薬物療法で効果がなければ「白血球除去療法」も選択肢。潰瘍性大腸炎は、血中の白血球で作り出された物質が、大腸の粘膜で炎症を起こすと考えられている。同療法は、循環装置を使い血液を体外に出した後、炎症を生みだす物質の発生源である白血球を減らし、体内に戻す仕組みだ。

 潰瘍が治らなければ、大腸を全部摘出する外科手術も行われる。

 クローン病は、特に小腸と大腸の境目で炎症を起こしやすい。お尻の痛みや腫れで気付くことが多く、発症は十代後半―二十代前半で目立つ。

 治療の基本は、炎症と関係するタンパク質や脂肪分を控えた食事による栄養療法。「献立は炭水化物中心。摂取カロリーの半分はタンパク質をアミノ酸まで分解させた、液体状の成分栄養剤で補う」(竹馬副理事長)ようにする。

 栄養療法は国内では標準的とも言える治療だが、炎症を抑える上で高い効果が期待できる「インフリキシマブ」を使った薬物療法も広がりだした。

 潰瘍性大腸炎やクローン病を若い時に発症すると、それぞれの病気と長く付き合うことにもなる。竹馬副理事長は「患者の容体だけでなく、家庭や職場環境にも十分心を配ったケアに取り組む必要がある」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年06月24日 更新)

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