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症状の深刻度に応じた態勢確立を 県有識者懇、専門医や看護師ら

医療現場の現状などが報告された有識者懇談会

 新型コロナウイルスの感染拡大防止策を協議する岡山県の有識者懇談会が9日、岡山市内で初めて開かれた。指定医療機関の専門医や看護師らが「県内でも医療崩壊は始まっている」と危機感を示し、県内での感染拡大に備え、症状の深刻度に応じた医療提供態勢を確立する必要性などを訴えた。

 会合は、伊原木隆太知事をはじめ、松山正春県医師会長や中瀬克己吉備国際大教授、感染者を診療している医師や看護師ら12人が参加。メンバーは「医療現場は感染の恐怖と日々戦っている」と口をそろえ、感染リスク回避のため一般患者の手術や検査を延期したり、体調不良の職員を1日数十人単位で出勤停止にしたりしている実態を次々と報告した。

 その上で「患者は今後2週間から1カ月で激増する懸念がある」との認識で一致。指定医療機関の医師は「患者が感染を疑って詰め掛け、重症患者を診る施設がキャパシティーを超え始めている」と訴え、症状に合わせて治療の優先度を決め、病院ごとに振り分ける県のリーダーシップを求めた。

 感染の有無を調べるPCR検査については、松山会長が県内で医師が依頼しても断られたケースが7件あり、うち1件は陽性だったことを紹介。中瀬教授は高齢者施設などでクラスター(感染者集団)が発生すると、1日数百人規模の検査の必要があるため、さらなる態勢拡充の重要性を提言した。

 伊原木知事は「想定よりも医療現場の状況は厳しいと感じた。専門家の知見や経験を今後の対策に生かしたい」と述べた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年04月09日 更新)

タグ: 感染症

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