文字 

第20回 旭川荘療育センター療育園 単純性股関節炎 超音波検査で早期発見 大腿骨の病気に進行も

ペルテス病の子どもを診察する赤澤医師と青木医師(左)

 子どもの 股 ( こ ) 関節に水がたまり、太ももやひざなどが痛む「単純性股関節炎」。レントゲンでは分かりにくく、体の成長に伴う痛みと勘違いされやすいが、放置すればペルテス病や 大腿 ( だいたい ) 骨頭すべり症といった大腿骨の病気につながりかねない。青木清医師は「レントゲンだけでなく、超音波検査などを行うことが早期発見につながる」と話す。

 単純性股関節炎の原因は不明だが、鼻風邪をひいた後でも起きるという。二週間程度、スポーツを控え体を安静にすれば、水は消える。痛みが一カ月以上続く場合、ペルテス病などが疑われる。

 ペルテス病は、血管が圧迫され大腿骨頭が 壊死 ( えし ) する状態。壊死した部分を再生させるために、赤澤啓史医師は「一カ月程度の安静入院で水を減らすことが治療の基本」とする。座骨で体重を支えることで股関節に負担を与えないための装具を一年―一年半付けることもある。

 大腿骨頭すべり症も最近増加しており注意が必要だ。大腿骨の股関節に近い骨端が“本体部分”の骨幹からずれる現象で、骨の伸びるスピードに追いつかない骨周囲の筋肉が、いわばブレーキをかけている状態という。

 ずれの角度が四〇度前後までならば、その状態のまま骨端と骨幹をねじで固定する。「大腿骨には傾きを復元しようとする働きがあり、やがてバランスが取れる」と赤澤医師。傾きが激しい場合には、傾きがない側の骨幹の一部をくさび状に切り取り修復する。

 ペルテス病や大腿骨頭すべり症は適切に治療しなければ、変形性股関節症を引き起こす恐れがある。赤澤医師は「痛みには何らかの原因があると思って、子どもの変化を見逃さないでほしい」と呼び掛ける。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年07月01日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ