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第20回 旭川荘療育センター療育園 リハビリテーション課 個々の潜在能力引き出す

歩行器を使ったリハビリテーションの訓練を受ける女児

 「後ろから支えるから、ゆっくり前に進んでみよう」。理学療法士が声を掛けると、女児が歩行器をしっかり握って足を踏み出す。

 女児は、国内での発生率が千人に二人程度とされる脳性まひがあり、自力で歩くことは難しい。歩行能力を高めるため、五月に療育園に入院し、下肢の筋肉を伸ばす手術を受けた。七月中旬の退院までに歩行器を使って歩けるようになることを目標に、一日四十分のリハビリテーションを受けている。

 リハビリテーション課は心身の発達に障害がある患者に対し、入院と外来の両面から発達支援や生活適応能力の向上に取り組む。スタッフは理学療法士と作業療法士各八人、言語聴覚士四人の計二十人で構成する。

 同課の安藤泰司主幹(理学療法士)は「生後間もない赤ちゃんから六十歳を超えた人までさまざまな患者を受け入れ、医師の診断と治療方針に基づき、計画的な支援を行っている」と話す。

 療育園の外来と入院を合わせたリハビリ実績(二〇〇七年度)は計二万二千六百五件。リハビリを受ける患者の約六割を、脳性まひが占めている。

 理学療法では「座る・立つ・歩く」といった基本動作に加え、「姿勢を真っすぐに保つ」「楽に呼吸ができるようになる」などを含む運動機能の改善を目指す。知的障害を抱えるケースもあるため、作業療法や言語療法との連携を重視する。

 ほかにも、筋ジストロフィー症や二分 脊椎 ( せきつい ) 症、アスペルガー症候群などリハビリの対象は幅広い。同課の泉水光輝課長は「個々の潜在能力を引き出し、患者さんが家庭や職場などで充実した生活を送れるような支援をしていきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年07月01日 更新)

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