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第25回 岡山大病院② 麻酔科蘇生科 スムーズな手術支える 医師50人 全国有数規模

手術前に硬膜外麻酔を行う麻酔科医ら

横山正尚診療科副科長

片山浩集中治療部副部長

 午前八時すぎ、中央診療棟の三階。フロアに並ぶ十三の手術室に麻酔科医が一斉に散っていく。がんや生後間もない赤ちゃんの心臓手術など、この日の手術は二十四件に上る。

 岡山大病院の手術数は前年度約七千九百件。国立大病院では東京大、大阪大に次いで多く、肺移植や小児心臓手術など国内屈指の先端医療も手掛ける。

 その土台を支えるのが麻酔科蘇生科だ。非常勤を含め医師は約五十人。全国的に麻酔科医が不足する中、全国トップクラスの規模を維持している。

 一九六五年に岡山大医学部麻酔学講座として開講。後に岡山大学長を務めた小坂二度見氏(故人)が初代主任教授で、早くから専門医を育成してきた。

 麻酔の技術は常に進歩している。 脊髄 ( せきずい ) の一歩手前に局所麻酔薬を流し込み部分的に効かせる硬膜外麻酔や、超音波画像で針先を確認して神経をブロックする手法など患者への負担を少なくしつつ痛みを減らすさまざまな方法がある。

 「麻酔科医は手術室のコンダクター(指揮者)」と横山正尚診療科副科長。麻酔だけでなく血圧や呼吸をチェックし、異常があればいち早く対応する。「執刀医がスムーズに手術でき、患者がより良い状態で回復できるかは私たちにかかっている」との自負がある。

 麻酔科医のもう一つ大きな役割が集中治療室(ICU)の管理。岡山大では今年四月、新病棟のオープンとともに、従前の二倍の三十六床に拡充された。人工呼吸器が必要だったり合併症の恐れがある重症患者らの回復を最新の医療技術で手助けする。

 日本では多い部類のICUだが、欧米に比べれば少ない。「手厚く治療することで感染症の予防や早期回復を図り、入院費も抑えられるという考え方が欧米にはある」と集中治療部の片山浩副部長。

 同大は他施設と共同でさまざまな症例を検討し、蓄積していく試みを開始。「症例ごとにどんな治療が有効か探り、ICUのレベルアップを図りたい」と片山副部長は話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月19日 更新)

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