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第26回 川崎医大病院② 網膜剥離 桐生純一教授(眼科) 硝子体手術進みほぼ完治

硝子体手術を得意とする桐生教授

 眼球の奥にあり、目の内側にくっついて栄養を供給され、フィルムの役目をする網膜。ここに穴が開いてはがれてしまうのが網膜 剥離 ( はくり ) 。八十年前は不治の病と言われ失明していた。「今は 硝子体 ( しょうしたい ) 手術が進み、手術しやすく、視力の改善も良い」と話す。

 眼球は直径二十二―二十四ミリ。前面にレンズの役割をする水晶体があり、中央部分が寒天のような硝子体、その奥に網膜がある。網膜剥離は穴をふさげば治る。

 〇・六ミリの針(カッター)を眼内に刺し込み、網膜を 牽引 ( けんいん ) している硝子体線維を丁寧に除去し、空気を注入しはがれた部分を浮力で元の位置に押し返し、穴をふさぐ。手術は三十分で終わるが一ミリ以下の 緻 ( ち ) 密 ( みつ ) な手技の連続。高度な専門性が求められる小切開硝子体手術は、できる限り眼球の傷を小さくする低侵襲治療だ。

 京都大を卒業、眼科講師から四年前、川崎医大教授に就任。硝子体手術は三千例を超し、小切開手術は岡山県内で最初に実施した。糖尿病網膜症、 黄斑 ( おうはん ) 円孔 ( えんこう ) 、加齢黄斑変性などが得意分野。「網膜剥離の復位率はほぼ100%、糖尿病網膜症の失明阻止率95%以上」と言う。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年08月26日 更新)

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