文字 

第29回 金田病院 栄養サポートチーム 職種を超え協力

カンファレンスで情報を交換する三村医長(左から2人目)ら栄養サポートチームのメンバー

 食事量が減った、食べ物がのみ込みにくい―。そんな患者の栄養面の課題に、職種を超えて情報と知識を出し合い最良の支援を探るのが栄養サポートチーム(NST)だ。

 メンバーは医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士の二十人余。体重の増減、えん下(のみ込み)障害の有無などを看護師が評価する簡易栄養スクリーニングで栄養不良かその恐れがある患者十人前後を対象に、二週間おきのカンファレンスで意見を交わす。

 「補助食品で栄養を補う」「食事にとろみをつける」など検討結果は主治医に提案。チームでも対象患者を回診し、栄養状態と関係が深い床ずれやえん下をチェックする。

 二〇〇五年の開始から三年半で約七百人の患者にかかわった。日本静脈経腸栄養学会のNST稼働施設にも認定。チームを束ねる三村卓司・外科医長は「栄養は医療の基礎。栄養を重視することで床ずれ改善、手術後の早期離床・回復が図れた症例をいくつも経験した」と成果を挙げる。

 入院患者の床ずれ発生率は1%以下に抑えられ、長期入院のお年寄りが多い医療療養病棟(四十七床)でも最近三年間、床ずれの発症がないという。

 がん患者らが対象の緩和ケアや救急医療のチームも発足。三村医長は「チーム医療は今や医療の質を高めるために欠かせない。NSTが軌道に乗ったことで職種を超えた協力体制ができた」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年09月30日 更新)

カテゴリー

ページトップへ

ページトップへ