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第32回 岡山第一病院 ソケイヘルニア(脱腸)日帰り手術 江田泉院長 術後2時間で歩行、食事可能

手術方法を説明する江田院長

 足の付け根( 鼠径 ( そけい ) )に小腸の一部がぽこんと丸くふくらんで出るソケイヘルニア。発症は乳幼児から高齢者まで幅広いが、四十代以降の男性に多い。成人の場合、原因は付け根の筋膜が弱くなり、中から突出するため。

 「指で押さえると引っ込むので、長い間放置しておく人もいる。しかし、突出部分が筋肉層に締め付けられカチカチにはれて痛みを感じるようになると、腸閉塞を起こしたり、血流が阻害され腸が腐る場合もあるので要注意。早めに手術を受けるのが賢明です」と言う。

 手術は年齢に応じて硬膜外麻酔、局所麻酔、静脈麻酔などで行う。付け根を四―五センチ切開し袋状になった突出部分を切除。筋膜が弱くなった所へ直径十センチの丸いポリプロピレン製メッシュを挿入、補強して再発を防ぐ。手術時間は約五十分で終わる。術後二時間で歩行、食事は可能。

 「この手術方法だとほとんど再発はしない。切開部分が小さいので術後の痛みが少なく、日帰りができるようになった。自宅でゆっくりできるし、費用などを考えると患者さんのメリットは大きい。一週間ほどで普通の生活ができる」。従来は五日前後の入院が必要だった。

 岡山大第二外科関連病院で胃がん、大腸がんなど消化器手術の腕を磨いた。日本外科学会、日本消化器外科学会の専門医・指導医。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2008年10月28日 更新)

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