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青少年の発達障害相談増 玉野市育成センター 09年度69件 市教委が支援強化

2009年5月に発足した「市特別支援教育ネットワーク連絡協議会」。発達障害の早期発見、長期的サポート体制の確立に向けて研究を進めている

 子どもの健全育成などに取り組む「玉野市青少年育成センター」(玉原)に保護者、教育関係者から寄せられた相談のうち、発達障害に関するものが2009年度は半数以上を占めた。発達障害と診断される子どもは増加傾向にあり、市教委は特別な支援が必要な子どもの早期発見、長期的サポートの推進に乗り出している。

 09年度、同センターにあった発達障害に関する相談は69件で、全体(118件)の58・5%にあたる。ここ5、6年で急増しており、03年度(6件)と比較すると、実に10倍以上。同センターは「発達障害の問題が注目される中、教育関係者、保護者の意識が高まっている」と増加の要因を分析している。

 同センターによると「学校に適応できていないようだ」という内容が多いといい、必要に応じて、保護者と一緒に子どもへの接し方を考えることもあるという。

授業中断も

 市教委によると、医療機関などで発達障害があると診断された子どもは、06年以降毎年増加。09年10月の調査では、市内の幼稚園、小、中学校、高校で450人を超えた。市教委学校教育課は「実際はそれ以上で、今後も増えていくだろう」と予測している。

 市内の学校などでは「落ち着いて席に座っていられない」「時間割など予定が突然変わるとパニックを起こす」といった子どもが増えているといい、授業が中断してしまうケースも。適切な指導をしなければ、引きこもりになったり、態度が攻撃的になったりの「2次障害」が発生する恐れもあり、教育現場における支援体制の充実は急務だ。

克服へ連携

 学校教育法の改正により、すべての学校で特別支援教育が実施されるようになった07年を境に、教職員を対象とした研修は増え、発達障害の特性などに対する理解は進んでいる。しかし、効果的な指導が一人一人異なるため、それぞれに合った指導計画を立て、実践できる教職員はまだ少ないのが現状だ。

 市教委は、発達障害の克服には、幼稚園、保育園、小学校、中学校が連携して指導に当たる必要があるとして、09年5月、市内の教職員、保健師らが協力して支援に取り組む「市特別支援教育ネットワーク連絡協議会」を発足させた。定期的に中学校区単位で部会を開き、情報共有や、発達障害の子どもたちが社会的自立を図るために効果的な体制、支援方法などについて研究を進めている。

 市教委学校教育課は「カウンセラーら専門家の協力も仰ぎながら、集団の中で生活できる力を早い段階でつけられるような教育体制をつくっていきたい」としている。



ズーム

 発達障害 他人とコミュニケーションがうまく取れない高機能自閉症、読み書きなどが困難な学習障害(LD)、注意力や多動性をコントロールできない注意欠陥多動性障害(ADHD)などがある。大半は知的障害など重い症状を伴わないため日常の言動からは判断が難しく、障害があると認識されないまま通常学級で学習しているケースも多いとされる。文部科学省によると、小中学生の約6%を占めるとされる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年05月14日 更新)

タグ: 子供精神疾患

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