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県内コロナ感染急増 7月53人 目立つ若者、「夜の街」…

 岡山県内で新型コロナウイルスの感染再拡大に歯止めがかからない。7月の1カ月だけで感染者は53人(31日午後6時現在)に激増し、3月から約1カ月半続いた第1波(再陽性除き24人)の倍以上に膨らんだ。県や関係自治体は感染拡大阻止に全力を挙げるが、夏休みシーズンに入り旅行や帰省で人の移動が活発になることも想定され、今後も再拡大が続く恐れは消えない。専門家は衛生管理や「3密」(密閉、密集、密接)回避の徹底をあらためて呼び掛けている。

 再拡大した感染の特徴は、若者の多さだ。53人のうち20代が過半数の28人を数えるのをはじめ、30代以下が全体の7割弱を占める。岡山市内の繁華街では、こうした若年層の出入りが多いキャバクラなど接待を伴う飲食店2店でクラスター(感染者集団)が発生、急拡大の要因となった。今回初めて10歳未満も2人いた。

 症状のない感染者も少なくないなど、重症者がいない点も今回の特徴といえる。

 居住地別では岡山市が41人と突出。次いで倉敷市5人、赤磐市3人、高梁市2人、瀬戸内市1人、県外1人となっており、県南部での確認が目立つ。感染経路は、多くが飲食を共にするなどした濃厚接触者や県外滞在中の感染が疑われるケースで、経路が不明で市中感染とみられる人は10人程度にとどまる。

 

対応追われる

 
 感染者の急増を受け、県や関係自治体は、受け入れ施設の確保や拡大防止に向けた対応に追われている。

 県は、軽症・無症状者の宿泊療養先として確保していた「アパホテル岡山駅前」(岡山市北区下石井)について、当初予定より2日早い7月26日から運用を始めた。4人(同29日時点)が利用しているという。クラスターが発生した岡山市は濃厚接触者を追跡するとともに、同30日夜には急きょ、接待を伴う飲食店約40店を対象に県、県警と合同で立ち入り調査を行うなど、感染防止策の指導も強化している。

 感染の有無を調べるPCR検査は現在、官民合わせて1日最大約280件まで可能。県は8月末までにさらに増やす方針で、約670件まで対応できるようになる見込み。これに対し、実際の検査件数は7月中(30日時点)の最多日でも146件。入院が必要な重症者らを受け入れる病床も250床まで確保できており、現時点では検査、病床ともに余力がある。

 

医療逼迫懸念も


 とはいえ、安心とばかりも言えない。7月の感染者はいずれも軽症か無症状だったが、今後も増加の一途をたどれば、重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある人への感染リスクが高まり、病床を含め医療が一気に逼迫(ひっぱく)する懸念がある。

 夏休みシーズン中は、旅行や帰省で県外との行き来も増えることが予想される。実際、県外から帰省した男性から親族に感染したケースも起きている。

 岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は県内の現状について「今のところ感染経路がほぼ追えており、市中感染が広がっている状況にはない。マスク着用や手指消毒、『3密』回避といった基本的な対策をしていれば過度に恐れる必要はない」と説明。感染拡大や重症化の防止に向けて「高齢者らとの接点は可能な限り持たない、帰省しても会う時間を短くする、なるべく一緒に食事はしない、といった点に十分配慮を」と求める。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2020年08月01日 更新)

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