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第53回 重井医学研究所付属病院 小児療育センター 発達障害児の適応力養う

子どもの療育にあたる安田室長

 フロア中央にどんと据えられた大木。周りに面談室六部屋とプレールーム。スタッフと子どもたちが心を裸にして向き合うのが、おとぎの森のようなこの場所だ。

 小児療育センターは二〇〇四年の開設。自閉症、注意欠陥・多動性障害、学習障害といった発達障害の子どもたち約四百人が通う。

 スタッフは医師、言語聴覚士、臨床心理士、理学・作業療法士ら十七人。子どもの状態をどうとらえ、どう導いていくか、チームで話し合って決める。

 「社会への適応力を養うのが療育の基本方針」と小川誠医師。発達障害は、コミュニケーションがとれなかったり、衝動的に行動して、集団に溶け込めないことも多いからだ。

 「例えば『学校でかんしゃくを起こさない』と約束させ、守れたらほめて達成感を味わわせる。こんなことを繰り返し社会性を育てます」と安田壽室長。

 学校に子どもの参観に出掛けたり、先生方と療育について話し合うなど、活動は院内にとどまらない。発達障害の児童は通常の学級にも6%いるとのデータもあり、教育機関との連携はますます重要になっている。

 発達障害で引きこもりや不登校になる場合もある。逆にしっかりと自立を果たし通院を終える子もいる。「そうなった時はうれしいですね」と安田室長。「それだけ心が育ったということですから」
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年05月18日 更新)

タグ: 子供精神疾患

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