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国内初、肺の再移植「成功」 岡山大病院 患者容体は安定

生体肺の再移植手術について説明する大藤チーフ(右)ら=岡山大病院

 脳死肺移植を受けながら慢性的な拒絶反応に苦しんでいた愛媛県の30代男性の生体両肺再移植について、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)呼吸器外科肺移植チームは22日、手術が成功したと発表した。「母親と兄から移植した両肺は機能しており、男性の容体も安定。順調なら1、2カ月で退院できる見込み」としている。

 男性は肺の管が詰まり呼吸困難になる閉塞(へいそく)性細気管支炎などを患い、2000年代に脳死肺移植を受けたが09年から拒絶反応で容体が悪化。脳死による臓器提供では間に合わないと判断、生体再移植に踏み切った。同病院によると「一度移植を受けて社会復帰した患者の肺を新しい肺と入れ替える再移植は日本初」という。

 21日午前9時に始まった手術は、以前移植した右肺の癒着処理に若干時間を要したが、予定通り同日午後11時ごろ終了した。肺の一部を提供した母親と兄の容体も安定しているという。

 執刀した大藤剛宏呼吸器外科肺移植チーフは「臓器移植法施行から年数がたち、日本でも再移植を考えなければならない時代。初の試みだった今回の手術を無事に終えられ、安堵(あんど)している」と話した。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年06月23日 更新)

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