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認知症の新検査法を考案 岡山大大学院教授ら 「く」形突起触れ角度識別 早期発見に光

認知症を早期に発見する検査法を試す呉教授

 岡山大大学院の呉景龍自然科学研究科教授(生体計測工学)と阿部康二医歯薬学総合研究科教授(脳神経内科学)らの研究グループは28日、認知症の早期発見につながる新しい検査法を考案したと発表した。2種類の「くの字」形の突起に指先で触れ、角度の大小を識別してもらう手法。認知症患者は識別率が低いといい、「国際的な診断基準の一つになれば」としている。

 グループによると、「見えない障害」といわれる認知症は、早期診断の方法が確立されていない。呉教授らは約10年前から視覚や聴覚などを活用した検査法の開発に取り組み、客観的に検査できる触覚と図形角度が最適と判断した。

 岡山大病院で昨年6月から9カ月間、60〜80代の健康な高齢者14人と軽度な認知障害患者10人、アルツハイマー型認知症患者13人を対象に臨床研究を実施。基準角度(60度)と、それより4〜50度大きい「くの字」形の突起のあるアクリル板9種類を用意し、専用装置で60度と無作為に選んだ別角度の2枚を、目隠しした患者の人さし指の下を通過させ、どちらが大きいかを80問答えてもらった。

 健康な高齢者は平均8・7度の違いを識別したの対し、軽度の認知障害患者は同13・8度、認知症患者は同25・2度。全体の正答率も健康な高齢者の平均82・1%に対し、認知症患者は同67・9%にとどまった。

 国内の認知症患者は推計200万人以上。呉教授は「装置の小型化や検査時間の短縮など改良を進め、3〜5年後の実用化を目指したい」としている。

 研究成果は米科学誌への掲載が決まっている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2010年07月29日 更新)

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