早い段階でもがん緩和ケア 出張ミニ講演で啓発 岡山大病院中心「野の花プロジェクト」 患者のQOL向上を目指す
がんの緩和ケア普及を目指し、岡山大病院(岡山市北区鹿田町)が中心となった「野の花プロジェクト」が町内会や職場単位での出張ミニ講演会を積み重ねている。昨年11月から計15回。痛みをとるのに必要な麻薬への理解を進めたり、患者のQOL(生活の質)を重視した医療が浸透するように草の根レベルで啓発を図っている。
「がんの痛みは90%とれると言われるのに、患者さんは我慢していることが多い。ぜひ声を上げてください」
7月末の夜、岡山市北区新屋敷町の児童会館。同町婦人部(難波七三子部長)約20人を前に岡山大大学院の松岡順治教授(緩和医療学・癌(がん)生存学)が呼びかけた。
松岡教授は、モルヒネなど麻薬の使用量が医療側の知識不足や患者側の偏見もあって日本が国際的に少ないこと、がん診療連携拠点病院でも50%しか痛みがとれていないというアンケート結果など紹介。1時間半、精神的なサポートも含めて患者の痛みを総合的に和らげる緩和ケアの必要性を話した。
聴講した糸島禮子さん(69)は「緩和ケアは治療がなくなった人が受けるイメージがあったけど、早い段階でしてもいいんだと分かった。周りでがんになった人がいれば伝えていきたい」と感想を話した。
野の花プロジェクトは、岡山大に昨年4月開設された緩和医療学講座の松岡教授を中心に立ち上げ。県内で緩和ケアに携わる医療、福祉関係者やがんの患者会などのコアメンバー会議(約20人)を月1回開いている。
ミニ講演会は依頼に応じて、真庭市の愛育委員の研修会や企業の研修、福祉関係の集まりなどで開催。これとは別に、倉敷、津山市のショッピングセンターで計3回、「岡山メディカルカフェ」と題してがん治療のトピックスなど紹介する講演会も行った。
同プロジェクトで昨年11月に県内の20歳以上の男女600人を対象に行った電話アンケートによると、「緩和ケアという言葉を聞いたことがある」は37・3%。このうち「がんになったら緩和ケアを受けたい」という人は82・1%に上る一方で、「終末期だけでなく、症状の初期から行われることを知っている」は29・9%、「緩和ケアを行っている病院を知っている」は23・2%にとどまった。
同プロジェクトでは、今後、医療者向けに麻薬の処方例などを示して取り組みを促したり、在宅緩和ケアに携わる医療者などとの連携を強化する方針。松岡教授は「がんという病を抱えてもより良く生きられるような地域づくりを目指したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
「がんの痛みは90%とれると言われるのに、患者さんは我慢していることが多い。ぜひ声を上げてください」
7月末の夜、岡山市北区新屋敷町の児童会館。同町婦人部(難波七三子部長)約20人を前に岡山大大学院の松岡順治教授(緩和医療学・癌(がん)生存学)が呼びかけた。
松岡教授は、モルヒネなど麻薬の使用量が医療側の知識不足や患者側の偏見もあって日本が国際的に少ないこと、がん診療連携拠点病院でも50%しか痛みがとれていないというアンケート結果など紹介。1時間半、精神的なサポートも含めて患者の痛みを総合的に和らげる緩和ケアの必要性を話した。
聴講した糸島禮子さん(69)は「緩和ケアは治療がなくなった人が受けるイメージがあったけど、早い段階でしてもいいんだと分かった。周りでがんになった人がいれば伝えていきたい」と感想を話した。
野の花プロジェクトは、岡山大に昨年4月開設された緩和医療学講座の松岡教授を中心に立ち上げ。県内で緩和ケアに携わる医療、福祉関係者やがんの患者会などのコアメンバー会議(約20人)を月1回開いている。
ミニ講演会は依頼に応じて、真庭市の愛育委員の研修会や企業の研修、福祉関係の集まりなどで開催。これとは別に、倉敷、津山市のショッピングセンターで計3回、「岡山メディカルカフェ」と題してがん治療のトピックスなど紹介する講演会も行った。
同プロジェクトで昨年11月に県内の20歳以上の男女600人を対象に行った電話アンケートによると、「緩和ケアという言葉を聞いたことがある」は37・3%。このうち「がんになったら緩和ケアを受けたい」という人は82・1%に上る一方で、「終末期だけでなく、症状の初期から行われることを知っている」は29・9%、「緩和ケアを行っている病院を知っている」は23・2%にとどまった。
同プロジェクトでは、今後、医療者向けに麻薬の処方例などを示して取り組みを促したり、在宅緩和ケアに携わる医療者などとの連携を強化する方針。松岡教授は「がんという病を抱えてもより良く生きられるような地域づくりを目指したい」と話している。
(2010年08月16日 更新)